■節子への挽歌706:いかにも節子らしい写真
節子
仏壇に飾っている節子の写真を、病気以前の元気な節子の写真に変えようと思って、昔の写真を少し探してみました。
最近、やっと昔の写真を見られるようになったのです。
プリントアウトしたものではなく、パソコンの入っているものをスライドショーで見始めたのですが、1枚の写真に釘づけになってしまいました。
それは娘たちと伊香保の小さな湿原を歩いている写真です。
写真嫌いな娘たちは、なんとなくブスッとしているのですが、節子だけが木道の端の丸太の上に乗って、笑いながらバランスをとっている写真です。
いかにも節子らしい写真です。
これこそ私の心の中にいる節子です。
見ていると節子が話しかけてきそうです。
この写真をパソコンの壁紙にしました。
これから毎日この節子に会うことになります。
この旅行は節子が病気になってからですが、節子が元気を回復してきた時なのです。
家族みんなで、車で出かけましたが、節子も運転をしていました。
娘たちが写っているので躊躇したのですが、節子らしさが出ている写真なので、娘たちに無理を言って掲載させてもらいました。
この写真を見ていると、やはり、節子がこの世からいなくなっているとは信じがたいのです。
私がいまも気をしっかりと持っていられるのは、節子の死を受け容れていないからです。
いまなお節子は生きているという思いが、心のどこかにあるのです。
愛する人を失った人は、もしかしたら私と同じかもしれません。
愛する人がいない世界に、生きていられるはずがないと、みんなどこかで思っているのです。
つまり、自分が生きている以上、節子もまた生きていなければならないのです。
そういう思いがあればこそ、時々元気はなくなりますが、平静に生きていられるのです。
この感覚は、なかなかわかってはもらえないでしょうが。
今生と彼岸のいずれにも生きている感覚と、数日前に書きましたが、それはこんな気分なのです。
それにしても、写真の中に入り込めるならば、私もこの写真の中に入りたいです。
節子の笑い声が聞えてきそうです。
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コメント
ご無沙汰しています。コメントは時々ですが、ブログはほとんど毎日読ませていただいて
います。
「今も気をしっかりと持っていられるのは節子さんの死を受け入れていないから。
愛する人がいない世界に生きていられるはずがない。
節子さんは生きているという思いが・・・あればこそ、時々は元気がなくなるけれど
平静に生きていられる」
ほんとにそうなんです。私も毎日そういう思いです。主人はここにいる、だから私は
生きてられるんだ、そうでなきゃあの日に私もいなくなってるはずだ・・・と。
妙に確信してみたり・・・でもそういう思いであふれているものですから、何かの
拍子に(ちょっとした他人のひと言など「死」という言葉など)いっぱいに水の
入った風船が割れるようにど~~っと落ち込みます。私はいまだに主人のことを
話すときは「いなくなってから・・・」とか「あの日から・・・」という表現しか
できません。。
ところが見た目は元気そうで前向きに見えるらしく、まわりはそれ以上のことを期待
してくれたりします。私自身の感覚は当時より今のほうがずっと落ち込んでいるのです
が・・・・。
節子さんのお写真、いいですね!楽しそうで、「希望」が見えます。
どういう状態であれ、きっと節子さんは周りの皆さんを元気づけ、頑張ってしまわれる
方だったんだろうなあと思って見せていただきました。ご自慢の奥様ですね!!
ほんとに、写真の中に入ってしまうことができたらねえ・・・そう思います。
うちの主人も泣き言ひとつ言わない、いつも平らな精神状態の人なんです。
修さまは、表現力がおありなのでブログを読んでいて頭の整理がつくことが
よくあります。主人の思いにも気づくことがあります。自分のよって立つところの
ヒントになるといいますかね。。主人は難病の上に脳出血を併発して言葉がでなく
なったままになったので、私は主人の思いを想像するしかなく。でも、それは
私の思い込みにもなりがちで、ほんとはどうなんだろうと思います。主人に会う
時には教えてもらえるものとこれもまた固く信じています。
そして、それが私の希望であり楽しみであり、一刻も早くその日になってほしい
と思っている・・・なんてことはどこにも言えません。
夏になったはずですが不安定な空模様ですね。私の気持ちのようだなあと苦笑しています。
どうか、お元気で。 田淵マサ子
投稿: 田淵 マサ子 | 2009/08/08 15:08
田淵さん
ありがとうございます。
コメントを読んでいたら、涙がとまらなくなりました。
ありがとうございました。
投稿: 佐藤修 | 2009/08/08 15:39