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2009/08/24

■原発と二酸化炭素の関係

エントロピー学会というのがあります。
この学会は関心を持った人たちの自発的な会費によって成り立っていますが、目安の会費は年間5000円程度ですので、気楽に入れます。
もし環境問題に関心をおもちであれば、入会されることをお薦めします。

この学会で出している機関誌はとても刺激的です。
7月号では「原子力発電の新局面」が特集されていました。
今日、ようやく読みました。
「原子力の場から見た地球温暖化問題」という京都大学の小出裕章さんの論文が面白かったので、少し紹介させてもらいます原子力は二酸化炭素を出さず、環境にやさしい」と言うのが、おそらく多くの方の認識です。
政府も電力会社もそう言ってきましたが、最近は「原子力は発電時に二酸化炭素を出さない」という言い方に変わったそうです。

そう言い換えざるを得なかったことの意味を、小出さんはデータを示して説明してくれているのですが、併せて、「原子力は発電時に二酸化炭素を出さない」ということにも疑問を示しています。
少し冷静に考えれば、おそらく誰にもわかることでしょうが、私たちはついつい「白か黒か」の議論のなかで、二酸化炭素を出さない原発という呪縛に絡めとられているのかもしれません。

小池さんはまたこうも書いています。

自然は複雑な系で、地球の温度も地球誕生以降大きな変動を繰り返してきた。新生代に入っても、大きな氷河期を4回も経験し、それぞれの氷河期とそれが終わった温暖期の気温には約10度もの違いがあったが、それでも、北極の白熊が絶滅したりはしなかった。
この論文の前にある、藤田祐幸さんの論文も刺激的です。
原発が生み出す電力の特性を整理してくれています。
原発は巨大で繊細なシステムであるため、激しく変動する負荷に追随することが出来ず、運転を開始したら一定の出力を維持しながら運転を続けねばならないという宿命を持っている。このような特性があるため、原発は深夜でも使い続けている電力(ベースロード)をまかない、変動分は火力や水力が担当するという役割の分担がなされている。従って、原発はベースロードを越えるものは、建設しても運転することはできない「はず」である。
しかし、べ-スロードの限界を超えて原発は次々と建設されてきた。
そして、だからこそ、国内のベースロードの電力需要を高める施策が進められているというのです。
見えなかったものが一挙に見えてくる気がします。

いささか説明不足の記事になってしまいましたが、日本のエネルギー政策には何か胡散臭さを感じている私には、実に面白い2つの論文でした。
他にも考えさせられる原発関係の論文が出ています。
よかったらお読みください。
私のような感覚で原発批判をしているのとは違って、説得力があります。

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