■障害者虐待防止法に反対する施設団体
福祉実践に関わっているOさんから久しぶりにメールが来ました。
そこに書かれていることが気になりました。
「どうも障害者虐待防止法に対して親の会や施設団体が反対しているようだ」
その人が福祉現場の大先輩から聞いた話だそうです。
Oさんは、「とうとう本性を現してきたなという感じです」と書いています。
Oさんのメールにかかれていたサイトから、日本知的障害者福祉協会が反対を表明していることを知りました。
反対理由の最後にこう書かれています。「
障害をもつということのみで、障害者と差別して、保護しなければならない弱き者として障害者を捉え、安易に法律案を作成したことには納得できません。」これだけ読むとなかなかわかりにくいですが、いろいろ現場で体験されてきているOさんには、この言葉の意味はすぐわかったのでしょう。
Oさんのメールから少し引用させてもらいます。
過去の福祉現場においては、親や施設や行政がいくらハンディを持つ人達に実力行使をしようとしても、どこかに歯止めとなる人材がいて均衡を保っていたようにも思うのですが、小泉改革以降は社会保障全てがなし崩し的となり施設経営の名の下に次第に障害者を商品化してきたように感じています。この2つの文章をつないでいただければ、Oさんが懸念する「施設団体の本性」の意味がわかってもらえるかと思います。
20年ほど前に福祉の世界に関わった時には、私は驚きを感じました。
福祉とは金儲けの世界なのかと思ったほどです。
同じことは環境問題に関わった時にも思いました。
ですから、当時、これからは福祉や環境の分野が成長産業の分野だなどと言う経済エコノミストに反発を感じていました。
もちろん今でもそうした輩は少なくありませんが、残念なことです。
いくつかの小論でもそうしたことを書きましたが、最近はそれがさらに露骨になってきたような気がします。
もっとも今回は、そうしたことを書きたいのではありません。
私自身が「障害者虐待防止法」のことをほとんど知らなかったので、もしかしたら知らない人も多いのではないかと思い、書いておこうと思ったこともあるのですが、それ以前に、今時「虐待防止」などということを法律にしなければいけないということに改めて驚きを感じたのです。
情けなくなったというのが正直な気分です。
防止法が検討されるということは、虐待が日常化しているということです。
法律によらなければ虐待を防止できない社会に、自分が住んでいることに気づいたのです。
覚せい剤もたぶんかなり日常化しているのでしょうね。
事ほど左様に、私は今、自分がどんな世界に住んでいるのかあまり知らないのではないかという気がしてきたのです。
幸いにまだ、殺人防止法などというのは聞いたことがありませんが、まもなくできるのでしょうか。
そういえば、そんなニュースも昨日テレビでやっていましたね。
どうやら私は、社会からやはりかなり脱落しているようです。
法律は、その社会の実相を象徴しています。
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