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2009/09/15

■温室効果ガス25%削減で家計負担36万円増?

温室効果ガス25%削減が話題になっていますが、これによる家計負担が36万円などという数字までが話題になっています。
誰が出した数字でしょうか。
こうした各論的な数字の操作で世論を誘導するのは最も悪質な情報操作です。

温室効果ガスの排出を削減することは、経済成長の質的転換をはかるか、あるいはこれまでのような経済成長路線を見直せば実現できるはずですが、それはおそらく家計負担も軽減することになるだろうと私は思います。
要は、過剰な工業依存をやめるということですから、これまでのような意味での経済成長路線は見直されるべきです。
これまでのやりかたを続けながら、持続可能な社会づくりなどできないのです。
それに気づくかどうかの岐路に、いま私たちはいます。
「環境規制は、技術革新をもたらし、生産性向上にも寄与する」という、ハーバード大学のポーター教授の主張です。
事実、それによって日本の自動車メーカーは世界の勝者になりました。
しかし、技術革新は実現しましたが、経営革新は実現できませんでした。
ポーターが言っているのは、正確には「適切に設計された環境規制こそが産業を進化させる」ということですが、「進化」はできなかったのです。
いえ、その意志がなかったというべきでしょうか。

環境を考えるということは、私たちの生活を見直すということです。
単に産業を見直すことではないはずです。
これまでの産業の枠組みから抜け出ようとせずに、環境問題までをも市場化しようとしている財界人の発想からはとても出てこない発想です。

この時評編でも度々書いていますが、お金基準の生活をやめるだけで、温室ガスは削減できるでしょう。
でもそれでは企業活動は拡大していかないわけです。
しかし、言うまでもなく、企業は生活あってのものです。
生活を壊すようになった企業の経営者たちの意見に惑わされてはいけません。
ましてやその寄生者たちがつくりあげた「36万円負担増」などという無意味な数字に驚かされてはいけません。
みなさんの金銭出資を1割抑えて、自らの汗をかき、あるいは我慢すれば、その目標はそう遠い先のものではないように思います。
それに健康にもいいので、メタボ症候群などというおかしなレッテルもはられないですむかもしれません。

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