■補正予算の未執行分を回収するということ
総額15兆円規模の経済対策を盛り込んだ09年度補正予算のうち、5割を超える8兆3千億円分が「未執行」であることが10日分かった。民主党は補正の一部を新規事業の財源とする方針。党内には地方自治体に渡った資金は「回収が難しい」との声が強まっており、この未執行分の回収を急ぐ。これは数日前に出た朝日新聞の記事です。 何回読んでも、その意味がわかりません。
まず緊急経済対策だったはずの補正予算がまだ半分も執行されていなかったことの不思議です。
次に、一度、国会で決まったものを回収することの不思議です。
さらに、未執行のものを回収できないという不思議です。
個人の問題に置き換えて考えてみましょう。
①困っている人がいるのでお金を用意したが、半分しか貸さずに様子を見ている。
②貸したものについても、その後、考えが変わったので返してもらうようにした。
③しかし相手はなかなか返してくれなさそうだ。
①が起こるのは、相手を信用していないか、貸すことが相手のためにならないかのいずれかですが、要は「貸すことの効果」に確信がないということです。
緊急経済対策としての補正予算の本質が見えてきます。
②は賃貸関係の当事者の権力関係を示しています。
その権力関係は「お金」に支えられています。
個人間の場合はいいのですが、国家政府と地方政府の場合はどうでしょうか。
そもそもそのお金は国民の税金です。
ここに「地方分権」の本質が見えてきます。
③は国家の本質に関わることです。
国家の場合、返してくれない人に対して強制的に取り立てることができます。
個人間の場合はそれをやると「犯罪」になりますが、国家がやれば犯罪にはなりません。
まさに「国家」の本質が見えてきます。
昨日も書きましたが、いろいろなことが見えてきています。
それに基づいて、いろいろなことを見直していく、とても良い機会なのかもしれません。
もちろん政府の話ではなく、私たちの生き方のことなのですが。
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