■暮らしの変化は私たちを豊かにしているのか
生活の変化がこれほどまでに加速されたのはいつの頃からでしょうか。
今日、テレビの世界遺産の番組で、イギリスのアイアンブリッジ峡谷を紹介していましたが、とても印象的だったのはその住民たちは300年前と同じ暮らしぶりを大事にしているということでした。
アイアンブリッジができたのが230年ほど前ですから、世界初の鉄橋ができたにもかかわらず、生活は変わらなかったのです。
もう一つ感激したのは、お金などなくても豊かに暮らせると住民たちが居酒屋のようなところで歌っていた場面です。
同じ暮らしぶりを続けていれば、さまざまなノウハウが生まれ、お金などほとんどいらなくなるのかもしれません。
この2つはつながっています。
昨日と同じ暮らしを続けていくのでれば、たぶんお金は不要です。
顔見知りの人たちで支えあって暮らしている社会では、おそらくお金はほとんどなくてもいいでしょう。
お金は生活を変えるためには必要でしょうが、生活を変える必要がなければそう必要ではありません。
そう考えていくと、いまの経済は完全に間違っているような気がしてきました。
新しい民主党政権に、経済成長やお金を使う政策(つまり財源が問題になるような政策)を私たちは期待していますが、それでいいのでしょうか。
私はささやかながらまちづくり支援に関わらせていただくことがありますが、お金がなくてもできることはたくさんあります。
むしろ、お金があるためにダメになっている「まちづくり」は少なくありません。
同じことはNPOにも言えます。
資金助成はNPOを育てるように見えて、NPOを壊しているような気もします。
アメリカ主導の金融資本主義のもとで生み出された「通貨」が世界中を飛び回り、社会を市場にしてきているわけですが、その通貨は私たちを豊かにしてくれたでしょうか。
アイアンブリッジ峡谷のまちの人たちの言動をテレビで見ながら、そんなことを考えていました。
お金がないと豊かになれないという思い込みを私たちは捨てなければいけません。
お金から解放されれば、私たちの生き方はきっと豊かになります。
しかし、みんながそうしてしまったら、困る人も出てくるでしょう。
だからそうならないように教育が施されているのかもしれません。
そう考えていくと、経済の本質が見えてくるような気がします。
経済のために私たちが存在するのではなく、私たちの暮らしのために経済は存在するはずですが、果たして今の経済はそうなっているでしょうか。
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