■節子への挽歌757:死が感じてからの節子の生き方
節子
今日は京都の宇治にある天ヶ瀬ダムに行ってきました。
自殺のない社会づくりネットワークの立ち上げのために、各地の、いわゆる自殺多発場所をみんなで手分けして回っていますが、ここはとても積極的な取り組みをしていると東尋坊の茂さんに聞いていましたので、ぜひ実際に見てみたいと思ったのです。
久しぶりの宇治です。
天ヶ瀬ダムは宇治平等院のすぐ近くです。
時間があったので平等院に寄ろうと思えば寄れたのですが、やはりどうも立ち寄る気が起きず、結局、寄りませんでした。
節子との思い出のあるところには、寄りたいのに寄れないのです。
ダムといえば、奥只見湖ダムに節子といったことを思い出します。
あの時も中国から日本に働きにきている若者たちのグループと仲良くなりました。
一緒に写真をとり、また東京に戻ったらオフィスに遊びに来るよと言うことになりました。
彼らのために何かできることがあるはずだと、私たちは思ったのです。
しかし、残念ながら、その後の交流は始まりませんでした。
まあこうしたことはよくありました。
旅先で出会った人との交流を楽しむのは節子の文化でした。
自然と話しかけて、そこに入っていくのです。
でもこれは、節子のもともとの文化ではありませんでしたし、私の文化でもなかったのです。
いつから、そういう文化が生まれたのか。
もしかしたら節子が病気になってからかもしれません。
思い出してみるとそんな気がします。
もちろんその前も、そういう傾向はなかったわけではないのですが、病気になり、一時回復に向かってからの節子は、人とのふれあいをいっそう大切にするようになりました。
出会った人に声をかけ、音信がなくなっていた人に手紙を出し、旧友とも会いに遠出をするようになりました。
旅先で会った人との一期一会も大切にしたのです。
病気を一時期、克服するかに見えた節子の生き方は見事なほどに積極的でした。
そして何よりも、人が好きになったような気がします。
節子は自らの生の証をできるだけ多くの人たちに刻み込んでおきたかったのかもしれません。
私の目線は節子だけに向けられていましたが、節子の目線はすべての人に向けられていたのです。
そのことに気づいていたら、もっともっと節子が喜んでくれるような場をつくれたのですが、私はいつも気がつくのが遅いのです。
節子の闘病時代は輝いていたのだ、そう思うと少し心がやすまります。
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コメント
宇治と天瀬ダムという文字を見て・・・・私の生まれ故郷はまさしくその宇治。主人もそう
なんです。驚きました!お茶の香りに包まれて育ったようなものです。
天瀬ダムは小さい頃によく行きました、平等院は一般公開される前は遊び場でした。
でも子供の頃の思い出では平等院と天瀬ダムはとっても遠かったです。
そうですか・・・節子さんと平等院に思い出が。。。主人と私も結婚前に始めてのデートは
宇治の塔の島でした。。
ほんとに不思議ですね。たまたまこうやって拝見させていただいているブログでの
お知り合い?なのに、あれやこれやと繋がりがあるものだなあと改めて驚いています。
そして・・・・長い間を経て今は東京に。宇治の景色をしみじみと思い出しています。
投稿: 田淵 マサ子 | 2009/09/29 22:26
宇治で子ども時代を過ごされたのですね。
私は高校の修学旅行で関西に行ったのですが、その最初の見学先が平等院でした。
ですから私の京都奈良のイメージは平等院でつくられてしまいました。
大学を卒業後、東レに入社し、4年間大津の東レにいました。
瀬田川の近くです。
瀬田川をくだり、万福寺に行ったことがあります。
ここもとても印象的な空間で、今も思い出します。
妻とではなく、友人と行ったのですが。
この周辺は、京都とは違う雰囲気がありますね。
平等院の前の駐車場に車を止めてもらい、そこにある茶店でお蕎麦を食べました。
それから平等院に入る予定だったのですが、なぜか入る気が失せてしまい、また車に乗ってそのまま駅にいってしまいました。
思考が停止していた感じです。
電車に乗ってから後悔しました。
天ヶ瀬ダムはいいところですね。
ダムの人に案内してもらいましたが、みんなよい人でした。
帰宅したら、娘たちから宇治に行ったのに、お茶も買ってこなかったのと怒られました。
投稿: 佐藤修 | 2009/09/30 16:31