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2009/10/01

■日本航空再建への懸念

前原国土交通相の迅速な対応で、JAL再建に向けて専門家らによる特別チーム「JAL再生タスクフォース」が設置されました。
まず徹底した資産査定を行い、早急に再建計画の骨格を固めるという動きは私にもまあ納得できるものです。
しかしタスクフォースのメンバーや基本姿勢には、少し違和感があります。

タスクフォースのメンバーには、旧産業再生機構OBがずらりと並んでいます。
産業再生機構はカネボウ、ダイエーなどの再建に取り組んだチームですが、このブログで私はかなり酷評した記憶がありますが、彼らはいったい何を「再生」したのか、要するに金融工学と権力を駆使して、かたちを整えただけではないかという気がしてならないのです。
カネボウもダイエーも再生したでしょうか。
「企業再生」ではなく「産業再生」だというのかもしれませんが、産業再生とは一体なんでしょうか。
要するに彼らは私欲のためにしか働かなかっただけではないのか。
庶民にとってはかなり巨額なお金が動きましたが、そのかなりに部分はかなり不透明で、いろいろと裁判まで議論されたほどです。
またカネボウやダイエーで誠実に働いていた人たちの多くは、かなりの苦労を強いられたはずです。

私もほんのささやかにですが、少しだけそうした実態を垣間見る機会がありました。
なぜ彼らがあれほど評価されるのか。
そこにこそ、大きな問題があるようにさえ思います。
彼らは要するにこれまでの新自由主義経済の掃除屋なのではないのか。
その存在を否定するつもりはありませんが、つまるところ、今のような社会をつくってきた考えの申し子たちなのです。
その掃除の仕方は「友愛」精神とは無縁のものです。
彼らにとっての価値は「お金」です。

真の再生ができるには、その現場にいる人たちだけです。
もちろん現場の人、つまり当事者だけでは再生はできないでしょうが、再生の中心に当事者がいなければ、再生などは意味のないことです。
再生せずに、新しいものをつくればいいのです。
企業の再生とは、企業の機能の存続とそれを支えている人たちの生活の持続が目的でなければいけません。
企業の再生は、そう難しい話ではありません。
徹底した資産査定という場合、その「資産」には何が含まれるのでしょうか。
そこが問題ですが、企業にとっての最大の資産はいうまでもなく「そこで働く人」ではないかと思います。
しかし旧産業再生機構OBたちには、そんな発想は微塵もないでしょう。
お金のことしか関心のない人たちですから。

いささか極端に書きましたが、JAL再生タスクフォースには民主党の経済政策理念が象徴されているとしたら、これまでの自民党の経済政策理念と全く同じなのかもしれません。
新しい経済理念は、やはり次の政権の仕事なのかもしれません。

ちなみに、前原さんの言動を批判するつもりは全くありません。
むしろとても好感をもっていますが、これはそうした次元を超えた話です。

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