■「私の話も聞いてください」
政府による「事業仕分け」作業が始まりました。
その様子をテレビで見た友人からメールが来ました。
一部だけ引用します。
私もネット配信で少し見ましたが、暴力的な印象は否めませんでした。産経新聞の記事にこういうのがありました。
地方での事業仕分けもこの傾向があったとは聞いています。
佐藤さんはどのように思われますか?
文部科学省の所管事業を担当した第3ワーキンググループでのやりとりです。
蓮舫参院議員が「女性教育会館の稼働率は?」とたたみかけると、同館の女性理事長は「44%…」と小さな声で答えるやいなや反撃に転じ、「私の話も聞いてください。一方的にただ質問に答えろというのは心外だ」と声を荒らげた。この場面はテレビでも流れました。
友人はおそらくこの理事長に同情したのでしょう。
そういう人も少なくなかったのではないかと思います。
テレビは、映像のモンタージュ効果を今回も効果的に利用しています。
その場面を見て、私は、その理事長はこれまでずっと自分が「私の話」だけを話していたのだろうなと思いました。
誰かの話を聞く謙虚な姿勢があれば、決して、事業仕分けの対象事業にはならなかったでしょう。
「私の話」だけしか話し続けずに、自己正当化だけで生きてきた人の貧しさを感じました。
それに、今回は質問に答える場であることを彼女は全く理解していませんでした。
状況の理解力やコミュニケーション能力がまったくないのでしょう。
そういう官僚は少なくありません。
なぜなら彼らにとってのコミュニケーションは、お上の伝達でしかなかったからです。
「私の話も聞け」だったのです。
それはコミュニケーションではありません。
専門家と市民が一緒になって技術評価をするコンセンサス会議に取り組んできた小林傳司さんがその著者で書いています。
「専門家は市民が学ぶことに驚く。しかし市民は専門家が学ばないことに驚く」
とても示唆に富む言葉です。
そしてこの主語を他の言葉に置き換えると、いろいろなことが見えてきます。
「行政と住民」「企業と顧客」などなど。
仕分け作業の場合はどうでしょうか。
学ぶべきは誰か。
何のための作業なのか。
私は、上記の女性理事長のような人が無駄遣いの元凶だと思います。
彼女たち、彼らたちが、「善意」でこの国をだめにしてきたのです。
それに気づいてほしいものですが、彼女はおそらく生涯気づかないでしょう。
私の周りにもそうした人たちがたくさんいます。
私が人生を途中で降りたのは、そうなりたくなかったからです。
しかしそうなっていないかどうかには自信はありません。
まだまだ私憤が残っているのは、やはり同じ土俵で生きているということかもしれません。
困ったものです。
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