■「世の中を治め」る経済と「人民を救う」経済
7~9月期の国内総生産(GDP)は年率換算で4.8%増となったそうです。
4~6月期に続き2期連続のプラス成長です。
経済は着々と良くなっているそうです。
でも、そうでしょうか。
経済統計は果たして実態を反映しているかどうか、などという問題提起をするつもりはありません。
そもそもどんな「実態」も、視点や見方によっていかようにも変貌するからです。
それに、そもそも経済という概念そのものも多義的です。
ウィキペディアによれば、経済という語は、「世の中を治め、人民を救うことを意味する経世済民を略したもの」とされています。
しかし、「世の中を治め」と「人民を救う」とは、決して同質な概念ではありません。
最近、さまざまなところで、生活目線の視点での仕組みづくりが進んでいます。
たとえば市民ジャーナリズムの試みや市民バンクの試みがあります。
生活のための通貨の試みもあります。
そうしたものは必ずしもうまくいっているわけではありませんが、一定の成果を出していることは否定できません。
さほど成功していないとしても、じわじわと広がっているからこそ、「世の中を治め」る立場の人たちからは目の敵にされるようになっているともいえます。
経済指標に関しても、幸福指標の試みはありますが、今のところまだ「世の中を治め」る視点が強いようにも思えます。
ブータンの国民総幸福量(GNH)も、そんな感じを受けてしまいます。
もっと私たち住民の暮らしやすさを示すような指標を考えることが大切なのかもしれません。
そもそも経済や暮らしやすさを数字量で示すこと自体がおかしいのかもしれません。
そんな気もするのですが、しかし、そうしたことを考えるプロセスはとても重要です。
私たちの(私の、ではありません)暮らしやすさこそが経済の中心となるべきテーマであれば、その構造を考えることこそが、経済の出発点でなければいけません。
私たちの暮らしぶりが一変してしまっているいま、経済学は根本から見直されるべきではないか。
そして生活ぶりを示す経済指標も、根本から考える時期にきているのではないか。
そんな気がします。
生活につながった、新しい経済指標づくりはとても魅力的なテーマです。
どこかでそうした議論は始まっていないでしょうか。
もしどなたかご存知であれば、教えてくれませんか。
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