■ラディカル・デモクラシー
この時評でも紹介した「ガンジーの危険な平和憲法論」の著者のC・ダグラス・ラミスが10年ほど前に書いた「ラディカル・デモクラシー」(岩波書店)を読みました。
もっと早く読めばよかったと思いました。
いろいろと示唆に富んでいますが、一番共感できたのは、次の文章です。
重要なエコロジーは、自然保護区のエコロジーではなく、むしろ何世紀にもわたって生産活動に従事する人々が自然との対話を通して発展させてきたエコロジーである。農民と土壌と季節の間で、大工と道具と森の間で、陶工と土と火の間で、漁師と海と天候の間で交わされてきた対話である。最近のエコロジーブームにどうも違和感があったのですが、この文章を読んで少し安堵しました。
違和感を持っているのは私だけではないと思ったのです。
エコロジーとは「つながりと対話」なのだと、改めて思いました。
もう一つとても納得できた指摘がありました。
ローマの市民は一つの組織体に組織されていたのではなく、2つの組織に属していた。共和国と軍隊である。その仕組みは近代国家に引き継がれたと著者は言います。
そして、いまの日本では軍隊の代わりをしているのが経済だとしています。
そう考えると実にいろいろなことが納得できるような気がします。
そしてこういうのです。
ちなみに、近代国家という体制そのものが軍と共和制という二重性を持つ事実こそ、女性にこの体制内で全面的平等を与えることを困難にした一要因でもあった。目からうろこが落ちました。
この本は面白いです。
この時評ブログも、まんざらとんでもない意見ではないという気がしてきます。
もしよかったら読んでみてください。
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