■節子への挽歌864:麻酔が嫌いだった節子
節子
延ばし延ばしになっていたのですが、大嫌いな歯医者に行きました。
歯医者さんでは話もできなくなり、全くの拘束状態にしばし置かれるので私にはとても苦手なのです。
ところで歯医者といえば、節子の麻酔嫌いを思い出します。
最近の歯医者さんは痛みを感じさせないとするのか、いとも簡単に麻酔を使います。
私も節子も麻酔が嫌いです。
とりわけ節子は嫌いで、以前、通っていた歯医者さんは行くと必ず、奥さんは我慢強いですねと言っていました。
麻酔をかけようとした医師に、麻酔はかけないで良いですと言ったのだそうです。
その歯科医では語り草になっていました。
どちらかといえば私もそうですが、節子は大の麻酔嫌いだったのです。
もしかしたら「鈍かった」のかもしれませんが、たぶん我慢強かったのです。
歯医者だけではありません。
節子は実に我慢強く、弱音をはいたり、愚痴をこぼしたりすることがありませんでした。
それは見事と言うべきほどでした。
私とは対照的です。
私はちょっと熱が出ると、今にも死ぬように気弱になるのです。
歯医者に行くと、いつも節子の麻酔嫌い、我慢強さを思い出します。
私の記憶では、その節子が手術の時に弱音をはいたことが1回だけあります。
思い出すのも辛いのですが、2007年4月27日のことです。
その時は手術室に入る時の節子はいつもとは全く違っていました。
その後、同じ手術を何回か受けざるを得なかったのですが、2度と弱音ははきませんでしたが。
節子はもう一度だけ弱音をはいたことがあります。
前に書きましたが、8月のある日、「もうがんばれない」といったのです。
しかし私たちのために、節子は2週間以上、がんばってくれました。
あんなに我慢強い人はいない、と私は思っています。
だから身勝手で、いささか小難しい私の良きパートナーになってもらえたのです。
私がいまあるのは、間違いなく節子のおかげです。
だから今でも頭があがらないのです。
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