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2010/01/31

■節子への挽歌882:「なぜなんだ」

節子
今日はとても残念な話です。
書こうかどうか迷ったのですが、書いておくことにします。

年明けに会うことになっていた友人たちがようやく湯島にやってきたので、一緒に食事をしていました。
いつもながらとても楽しい友人たちで、笑いの絶えない食事でした。
一人は節子もよく知っているFさんです。
ところがその途中で、ある話題につなげて、OJさんがこういったのです。
実は妻が急に亡くなってしまった。
思いもよらぬ一言でした。

まだ54歳の若さです。
階段から落ちて脳しんとうを起こし、その数日後に突然だったそうです。
返す言葉もなく、ただただ無念さを共有しようと思うだけでしたが、うまくいきません。
何か言わなければならないというという思いから出てきそうになる無意味な言葉を押さえるのが精一杯でした。

OJさんが言いました。
「なぜなんだ」という思いばかりが浮かんでくる。

そう、ほんとうにそうでした。
「なぜなんだ」「なぜなんだ」「なぜなんだ」「なぜなんだ」・・・・
その理由がわからないのです。
いえ、理由などどうでもいいのです。
ただ「なぜなんだ」と問い正したい気持ちが起こってくるだけなのです。
誰に問い正すでもなく、です。

OJさんは近親の家族だけで3日間かけて、見送ったそうです。
イベントになってしまいがちな、葬儀にはしたくなかったといいます。
そしてその後で、もう一度、奥様側を中心に告別式をしたのだそうです。
いかにもOJさんらしいです。

まだ「現実感」がないとOJさんは言います。
そうでしょう。
そんなことがあるはずがない、あるはずもないことをどうして信じられるでしょうか。
信じてしまったら、それが現実になってしまうかもしれない。
そんな奇妙な思いがきっとOJさんの頭の中を巡り巡っているのかもしれません。
私はそうでしたから。

OJさんはこういいました。
私にはもう「これ」しかないんです。
「これ」とは最近OJさんが取り組んでいる仕事です。
その仕事がうまくいけば、OJさんは奥さんと一緒の楽しい時間へと生活を移すつもりだったのです。
湯島に来たのは、その仕事の相談でした。
仕事にいささか興味を失っている私は、その仕事に関わらせてもらうかどうか迷っていたのですが、この一言で、私の気持ちは決まりました。
私がいまOJさんにできることは、退屈な言葉や気遣いをかけることではなく、OJさんの取り組んでいる仕事の成功に協力することだと。

一度もお会いしたことのないOJさんのパートナーのご冥福を心より祈念しました。
節子
そちらで出会ったら友だちになってください。
キルトづくりに取り組んでいた人だそうなので、きっとあなたとも相性が合うでしょう。
選んだ伴侶も、私と少し似たところがありますし。

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