■企業はなぜ同じ間違いを繰り返すのか
「プリウス」のブレーキ不具合問題でのトヨタの対応の遅さが問題になっています。
こうした問題は、これまでも何回も起こっています。
危機管理問題として、かなり話題になった時期もありますが、どうもトヨタはそこから何も学んでいなかったのではないかという気がします。
私は1980年代から90年代初めに書けて、企業のコミュニケーション戦略に、企業の内外で少し関わってきましたし、経済広報センターに提案して日本広報学会の立ち上げにも関わりました。
そのころから何が変わったのか、私にはわかりませんが、少なくとも「進化」していないことは確かです。
私が大企業のコミュニケーション戦略に失望して興味を失ったのは1990年代の後半ですが、以来、状況は退化しているように思います。
今回の問題で昨日、トヨタの社長が記者会見しましたが、そこで次のような発言をされました。
「できる限り早く対応できる方法を検討するよう社内に指示している。決まり次第、順次報告する」
がっかりしたというか、驚きました。
トヨタには何人か友人知人がいますが、あまりにもひどい発言だからです。
どこかひどいか。
「検討するように指示」
「決まり次第」
そこには当事者意識と瀬金意識が全く感じられません。
企業がいかに壊れてしまっているかを如実に示しているのです。
社長であれば、こう言うべきでしょう。
「私が中心になって対応策をすぐに検討し、決定次第すぐに発表します」
しかし社長の記者会見のタイミングはあまりに遅かったのです。
おそらく取り巻き連中の慮(おもんばか)りでしょう。
創業者一家への主体的な経営に期待したのは間違いだったようです。
前にも書きましたが、トヨタの業績急変は、おそらく経営戦略参謀の不在の結果ですが、トヨタにはCIO(情報戦略参謀)も不在のようです。
広報戦略の基本が全く守られていないのです。
トヨタにかぎりませんが、大企業の企業文化に関する取り組みも、いろいろとお聞きしていますが、1980年代の取り組みに比べるといかにもお粗末な気がします。
基本はスタッフの不勉強と内部だけでの閉鎖的な取り組みのためではないかと思います。
1980年代にはもっとみんな真剣でした。
日本の大企業の時代は間違いなく終わったように思います。
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