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2010/03/01

■免疫力の高さ

ホームページの週間記録に書いたのですが、先週、歯医者さんから
「佐藤さんは免疫力が強いので、虫歯の治療後の処置をきちんとしていなくても炎症が起きにくいんです」
というようなことを言われました。
かなりの深い治療をしたときにも、佐藤さんのことだから痛みは出ないでしょうが念のために、といって痛み止めをもらいましたが、案の定、痛みは出ませんでした。

先週、読んだエスポジトの「近代政治の脱構築」のキーワードは「免疫」です。
実は、この本に感激した一つの理由は、それが理由です。

私が人生を変えてしまった契機は、会社勤務時代に企業文化変革活動を社長に提案して、思う存分やらせてもらい、その結果、主観的に挫折したという体験です。
その時のキーワードが2つあります。
「錬金術」と「自己・非自己」です。
「自己・非自己」とはまさに「免疫」の話ですが、当時はまだ私の中では「免疫」という言葉にはつながっていませんでした。
いまから思えば、「脱免疫化」が私の関心事だったのです。
当時は「開かれた企業」という表現を使っていましたが。

エスポジトは近代社会の袋小路を解く鍵として「免疫」という概念を持ってきます。
そして「共同体」に対して、その言葉を対置します。
最初はピンときませんでしたが、読み直してみて、私が25年前に取り組みたかったことだと気づきました。

免疫とは、インフルエンザ騒動で問題になったワクチンのように、病気の原因となる細菌や毒素を弱体化させて人体に投与することで、病気への対抗力を高めることです。
医療の世界ではこのことはもう常識ですが、社会のあり方や私たちの生き方においても、それは大きなヒントを与えてくれるはずです。

「コミュニティとは重荷を背負い合う人のつながり」というのが、私の定義ですが、ここでいう「重荷」とはコミュニティの語源に含まれる「ムニス」と同義です。
そしてコミュニティとは、そのムヌスを「コム」、つまり「共にする」ということです。
免疫の語源は「イムニタス」、ムヌスを「イン」、つまり否定するものです。

コミュニティやコミュニケーション、あるいは企業組織に関心のある人であれば、たぶん新しい地平が見えてくるのではないかと思います。
「免疫」という視点でみると未来が見えてくるような気がしてなりません。

私のもうひとつの関心事だった「錬金術」ですが、これは私の思いとは全く別の形で、この20年に世界を振り回したような気がします。
この視点から世界を見ると、これもまたとても面白いです。

久しぶりに、免疫と錬金術のことを思い出しました。
しばらくこれをまた意識しながら、この時評を書こうと思います。
現下の政治も経済も時評するのさえかったるく空しいように思いますので、しばらくはやや長期の時評に逃避したい気分ですので。

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