■節子への挽歌948:どこまでが私の脳なのか
節子
最近、ソーシャルブレインズという言葉に、時々出会います。
やっと概念化されてきたかと思っていたのですが、私が思っていた(節子に話していた)概念とは全く違っていました。
昨日、箱根に行く途中で、「ソーシャルブレインズ入門」(藤井直敬著)という新書を読みました。
私の期待とは全く違う内容でしたが、とても面白かったです。
ところで、その本にこんな問いかけが出てきます。
「あなたの脳はどこまでがあなたなのでしょうか」
「ソーシャルブレインズ」は、「社会脳」と訳されますが、この本の著者の説明では、それはこんな話です。
世の中には、人の数だけ脳があります。言い方を変えれば、私たちの脳は、たくさんの他者の脳に敏感に反応するというか、連動してというか、ともかくそれら(脳の集合)に適応して常に変わっていくというのです。
複数の脳がやりとりをすることで、人間関係や社会はなりたっています。
見方を変えれば、脳は、そのような、他者との関係や社会の中で、初めてその機能を理解できるものです。
「ソーシャルブレインズ」とは、そんな「人間関係や社会に組み込まれた状態の脳の機能」のことです。
「空気を読んだり、がまんしたり、人とつきあう」脳の機能です。
主体的などと思っていても、所詮は私たちの頭の中にある脳は、私たちを超えて他者の脳とつながっていると言うわけです。
この考えは、学生の頃からの私の考えに近いので、別に違和感はないのですが、著者の質問にはドキッとしました。
「あなたの脳はどこまでがあなたなのでしょうか?」
そうか、今もなお、節子の脳ともつながっているのか、と思ったのです。
こういうのを「牽強付会」というのでしょうか。
でも、そう思うと、いろんなことが解けてきます。
どんな新説も、今の私にはすべて節子とのつながりのかなで受け止めてしまうのです。
そのせいか、どんな新説も珍説も、すべてすんなりと心身に入ってくるのです。
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