■節子への挽歌965:書庫から節子の結婚前の日記が出てきました
節子
書類の整理を始めました。
これまで何度か挑戦して、その都度、途中で放棄していたのですが、万一何かあったら残されたものに迷惑がかかります。
それで転居以来、片付けたことのない小さな書庫の資料から整理を始めました。
実にいろいろなものが出てきました。
なんと私の大学の入学許可証なる書類まで出てきたのです。
私たちは結婚以来、数年の間はよく転居しました。
滋賀で結婚し、最初の家は自分たちで探した狭い借家でした。
滋賀県の瀬田町神領でした。
たしか半年で、大津市石山にある社宅に入れました。
入った途端に東京に転勤、小平市の回田のアパートに転居したら、すぐに小金井市の社宅に入れました。
そこからなぜか吉祥寺の社宅に移り、さらに保谷市の社宅へと、転々としていました。
たしか1年に2回転居したこともあります。
ですから引越しのために箱に詰めたものをそのまま次の転居先に送ったこともありました。
それにしてもなぜ何回も転居したのでしょうか。
今となっては理由をまったく思い出せませんが、私も節子も転居好きだったのです。
しかし転居しても荷物の整理をあまりしないのが、私の悪癖です。
段ボール箱につめたまま放置していたのですが、それを今の家に来た時に、これが終の棲家ということで、すべてを箱から出してしまったのです。
その整理が面倒で、すべてを小さな書庫の書棚に詰め込んでいました。
そしてこの10年、捜し物をしながらそれをかき回していたので、さまざまなものが見事に交じり合ってしまっているわけです。
節子と一緒にその整理をしたら、きっと楽しくなったでしょう。
何しろ思わぬものが出てくるのですから。
節子の若い頃の日記まで出てきました。
几帳面に普通のノートにびっしりと書いています。
私も初めて読む日記です。
まだ読む気にはなれませんが、偶然に開いた頁に、私に会う前に付き会っていた男友達からの手紙のことが書かれていました。
その人の名前は、節子から何回も聞いています。
節子はその人と結婚するつもりだったのです。
その人と結婚していたら、こんなに早く逝かなくてもよかったかもしれません。
過去を振り返って、「もしも」を考えても意味のないことですが、「もしもあの時に」と考えてしまうことが少なくありません。
そんなことを考え出していたためか、整理は一向に進みません。
山のような書類の前に途方にくれています。
この書類の山は、節子と重ねてきた人生の記録だと思うと虚しさに襲われます。
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