■節子への挽歌952:つばき
節子
気がつかなかったのですが、庭のつばきが大きな花を一輪だけつけていました。
葉っぱの影に咲いていたため、気がつかなかったのです。
いつもは複数の花が咲くのに、なぜか今年は大きな花が一つだけでした。
先日、ある人と歩いていたら、道沿いに咲いていた椿の花をちぎっていた人がいました。
一人の人は、なんとひどいことを口にしたのですが、もう一人の人があれは落花しそうな花をわざととっているのだと教えてくれました。
その人の地方では、椿のことを「首切り花」とも言うそうです。
その表現ははじめて聞きましたが、椿は花びらが散ることなく、花そのものが丸ごと落ちるため、首が落ちる様子を連想させ、病気の入お見舞いには使わないということは聞いていました。
それに「落椿」(おちつばき)という春の季語もあります。
椿の花は、どこか高貴で、凛としていて、私は大好きなのですが、花びらが枯れてきたり、無残に散乱した落椿は、できれば見たくない光景です。
それを知っているかのように、葉の陰でこっそりと咲いている椿は、いろいろ感じさせるものがありました。
迷いましたが、写真を撮ってしまいました。
盛りを過ぎた、老花の一輪です。
どうしても、節子に重なって見えてきます。
俳句では、落椿は春の季語です。
この一輪が落花したら、節子のいない3回目の春が始まります。
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