■節子への挽歌983:「おとうさんだから安心できる」
節子の旧姓は「片山」です。
ですから、節子は「片山」という名前に出会うといつもその人に関心をもちました。
鳥取県の知事だった片山喜博さんが、昨年、奥さんを見送ったことを先日初めて知りました。
記事のタイトルは「亡き妻の言葉に勇気」でした。
それに並んで「おとうさんだから安心できる」という書が掲載されていました。
そのふたつで、書かれていることはすべて伝わってくる気がしました、
片山さんと奥さんの最後の会話は、
「お父さん、ありがとう」
「ありがとう」
だったそうです。
とてもうらやましく感じました。
私と節子との最後の会話はなかったからです。
気づいた時には、節子は昏睡状況だったからです。
ですから、私たちの最後の会話はこうです。
「節子、ありがとう」
私からのその一言だけ。返事はありませんでした。
でも、片山さんが書いている「おとうさんだから安心できる」という言葉は、私も節子から何回も聞きました。
ついついそれを思い出して、胸が痛みます。
片山さんはこう話しています。
気の休まらない日々。看病の支えになったのは弘子さんの一言だった。最後の文章に思わず涙が出ました。
「おとうさんさんだから、安心できる」
入浴やトイレの世話は子どもたちに任せずもっぱら受け持った。
介護技術があるわけでもない自分に、いつもこう言ってほほ笑んでくれた。
飾り気のない言葉だが、41年間お互い愛を育んできたからこその愛情表現だった。
弘子さんが残した言葉を追憶することで気づかないうちに勇気づけられている自分がいる。
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