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2010/06/11

■節子への挽歌1013:議論の相手

節子
やはり議論の相手は節子がいいです。
というのは。

テレビでこんなニュースが流れました。
北京五輪陸上男子ハンマー投げで、室伏選手は上位選手がドーピング違反でメダルをはく奪されたために、銅メダルになっていたのですが、そのドーピング違反が否定されたため、5位になってしまった。

そのニュースを観て、なんで薬物を飲んで記録を伸ばすことが悪いのかと娘のユカに質問しました。
ドーピング薬物と牛肉とどこが違うのかという話です。
ドーピングが気になって、風邪薬も飲めないという話もありますが、どこかおかしくないでしょうか。
子どもの頃から、酒や煙草とLSDや大麻とどこが違うのか理解できませんでした。
その区別はどこでつけるのか。
たしかに心身を蝕むかもしれません。
ではそれと薬局でもらう薬とどこがちがうのか。
こうした疑問に私が納得できる形で答えてくれた人は今までいません。
答えるどころか、議論のテーマとしても成立しにくいのです。

私は自分で納得できないことがあるとすぐに近くにいる人に質問します。
その質問は、たとえば、「どうしてカラスは黒いのかなあ」とか「桜を見てどういう意味があるのかなあ」というようなものです。
節子は時々怒りましたが、まあよく話の相手をしてくれました。

今朝はその質問をユカにしました。
節子と同じような答が返ってきましたが、私が重ねて訊くので、相手をしていられないと言われてしまいました。
やはり議論の相手は節子がいいです。
節子ならもう少し付き合ってくれたでしょう。

それにしても、ドーピングしたくなるような競技のあり方にこそ、問題があることになぜみんな気がつかないのでしょうか。
黒いことがイメージを悪くしていることに、なぜカラスは気がつかないのか。

桜を見て感動する自分の生き方を改めて考える時間を持つことの大切さを、私たちは取り戻したいものです。
時には、桜を見ることの意味を考えるような人生を私は送りたいのです。
まあ節子は、そういう私の気持ちを理解してくれていたかどうかはわかりませんが、私の話には付き合ってくれました。
そのことがとても大きな意味を持っていたことに、最近気づきました。

ちなみに、もちろんドーピング薬物を飲むことには私は否定的です。
念のため。

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