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2010/07/06

■「社史で読む長崎原爆」

長崎にいる森草一郎さんが、「社史で読む長崎原爆」を送ってきてくれました。
今年の初め、「長崎に戦前からあり原爆被害を受けた会社のうち社史を刊行している会社17社の社史から、原爆の記事を中心に太平洋戦争のはじめから、敗戦直後までの記事を引用し、纏めてコメントもつけるという作業に追われています」というメールをもらっていたのですが、それが完成したのです。
森さんは長崎県庁でお仕事をされていた方ですが、とても世界が広く、発想がやわらかく、もう10年以上、お会いしていませんが、印象に深く残っている方です。
森さんはまた、長崎路上観察学会・アルキメデスの会長でもあります。
そのブログやサイトもありますので、よかったら訪ねてみてください。
森さんらしい、ちょっとおしゃれな活動です。

「社史で読む長崎原爆」は、ちょっと報告書的なスタイルだったので、最初は拾い読みしようと思ったのですが、面白くなって、結局、最初から最後まで一気に読んでしまいました。
森さんも書いていますが、社史にはその会社の姿勢が現れてきますが、同時にその時代の空気も感じられます。
企業は、時代の空気に過剰に反応するのです。但し、少し「遅れて」ですが。

社史に掲載された社員たちの体験記は、とても生き生きしています。
2回も読み直してしまったものもあります。
当時の人たちが、どうだったのかがとてもよく伝わってきます。
ともかく心にスッと入ってくるのです。

そこには、個人よりも会社、そして国、というような発想が時に感じられますが、それがとても素直に感じます。
あれほどの惨事でありながら、被爆日も含めて、それ以後も社会の秩序がしっかりと維持されていることに改めて驚かされました。
言い悪いはともかくとして、しっかりした社会があったのです。
しかも、そこでは各人がしっかりと「自立」し、「主体的」に動いているのです。
今の日本では果たしてどうでしょうか。
最近、社会が壊れだしていると思っている私としては、いささか複雑な気持ちです。

この本はもしかしたら、始まりかもしれません。
社史とまではいわなくとも、体験を様々な形で書き残した人は少なくないと思います。
この本を契機にして、もっとさまざまな記録が掘り起こせるかもしれません。

もし関心を持っていただけたら、ぜひ「社史で読む長崎原爆編集委員会」に注文してください
定価は630円(消費税込)、郵送料も含めて、たぶん1000円程度で送ってもらえると思います。

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