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2010/07/16

■雇用創出の罠

昨日、地域再生をテーマにしたサロンをやっていたのですが、そこで地域で社会的事業を起こすとしても、利益が上がらないと持続できないのではないかという質問がありました。
私自身は、まずはその発想の呪縛から抜け出て欲しいと思うのですが、事業を起こしたいと思っている人はこれまでの発想の呪縛から抜け出られないのです。
それに、大学での経営学も、巷のビジネススクールも、教えているのはすべて、そうした発想の中で活動してきた人たちばかりですから、学べば学ぶほど呪縛の罠に落ち込みます。
まさに、それこそが「資本の思う壺」です。
そんなことをしていたら、最近逮捕された日本振興銀行の木村さんのようになるよと言いたいところですが、多くの人たちはまだその発想でしか考えられないのかもしれません。

経営学関係の教授やビジネススクールをやっている人も友人に少なくありませんが、そこで教えている経営学や経済学は、これからはまったく役に立たないでしょう。
出発点が間違っているからです。
本気で経済や経営を学びたいのであれば、そんなところで学んではいけません。
ましてや、今成功している企業の経営者の話など聞いてはいけません。
ユニクロとグラミン銀行の話には、がっかりしましたが、あんな茶番劇に騙されてはいけません。
私には、グラミン銀行はもはやまったく信頼できない組織です。
彼らが創りだす雇用とは一体何なのか。
お金は本当に恐ろしいです。

とまあ、こういうことをこの20年、言い続けていますが、なかなかわかってはもらえません。
私の考えが間違っているからかもしれません。
しかし、昨日の議論を聞きながら思い出した本があります。
藤原書房から10年ほど前に出版された「アンペイド・ワークとは何か」という本です。
今日は、その本を引っ張り出して読み直しました。
そこに、フェミニストのマリア・ミースの小論が掲載されています。
以前読んだ時よりも、心に深く響きました。
多くの人に読んでもらいたい小論です。
全文引用したいですが、そうも行きません。
でも多くの人に読んでほしい論文です。
図書館などでぜひ借りて読んでください。

一つだけ引用させてもらいます。

すべての人にとっての完全雇用は、いまや、貧困な国々のみならず、豊かな国々においても不可能だということはたいへん明白であるにもかかわらず、政策決定者は、社会的危機の唯一の解決策としていまだに雇用創出について語りつづけているのである。
わかりにくいかもしれませんが、前文を読むときっと理解してもらえると思います。
コモンズ書店に、その本を紹介しておきます。

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