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2010/08/28

■ホメオパシーを否定する学術会議への怒り

8月24日、日本学術会議は民間療法ホメオパシーについて、「科学的な根拠は明確に否定され、荒唐無稽」という談話を発表しました。
日本医師会など6団体もそれに賛同したと報道されています。
ホメオパシーを受けている人が通常の医療を拒否して、死亡したり症状が悪化したりした疑いの濃い例が相次いで表面化したことが、この談話の契機になったようです。

私は妻を胃がんで見送りました。
いわゆる通常の医療のほか、民間療法も併用しました。
ホメオパシーは帯津良一さんのクリニックで受けていました。
残念ながら妻に限って言えばホメオパシーの効用はありませんでした。
ちなみに帯津さんは、日本ホメオパシー医学会の会長でした。
私は前からホメオパシーのことは知っており、文献的な知識はありました。
しかし実際に処方を受けてみて感じたのは、正直に言えば、大きな疑問でした。
アマチュアリズムの独りよがりを感じたのです。

それでも私はホメオパシーを否定する気にはなれません。
がんを患った方の多くは経験すると思いますが、通常の医療の限界を超えるために、「民間医療」に期待したくなります。
しかし、そこでぶつかるのは評価できないという悩みです。
かかっている医師は、ふつうは相談には応じてくれないでしょう。
私の妻の場合は、最初の主治医だけは理解を示しましたが、相談までは無理でした。
失礼ながら知識がないのです。
2番目の主治医は、そんなことを口に出そうものなら診療拒否にあいそうな人でした。
要するにみんな「専門バカ」でしかないのです。
医療ではなく、近代医学にしか興味はないのです。

今回のホメオパシー拒否の動きに、近代医学帝国主義を感じます。
民間医療が正しいというつもりはありませんが、近代医学だけが正しいわけでもありません。
もし自らに自信があって、しかもその限界を自覚できるのであれば、たとえ民間医療であろうと長年それなりに続いている医療の知恵に対して、もっと謙虚であるべきです。
全面否定ではなく、一緒になって、そこに秘められた知恵を活かすと共に、自らのあり方を謙虚に問いただすことが望まれます。
「民間医療」がこれほどに広がっているのは、今の近代西洋医学の限界と無縁ではないのです。
そして、治療を求める当事者(医療の主役は医師ではなく病人だと私は思っています)は必死に治療の道を探しています。
自分の世界だけで安住している医師とはまったく違うのです。
その人たちの視点で、少なくとも、ホメオパシーを含む民間医療のことを学び、一緒になってお互いを活かしあう医療を目指してほしいです。
自らを守るために、代替物を否定する、あるいは無視する傲慢さを捨ててほしいです。

ホリスティック医療や統合医療は、まだまだ一部のサブシステムでしかありませんが、本来はそれこそが医療の本流でなければなりません。
学術会議や医師会の不勉強さと傲慢さに怒りを感じます。

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医療時評」カテゴリの記事

コメント

近代医学に限界があるのは医者はみんな知っています。
その中で限界を拡げようと努力しているのが医学者です。
限界も効能も何もかもあいまいでテストした結果に対してはテスト出来ないと主張し
「近代医学にないものを補完する」と主張するホメオパシーの態度はそれだけで、謙虚ではないです。

投稿: a | 2010/08/29 00:15

>今の近代西洋医学の限界と無縁ではないのです。

そりゃ限界はあるんですわ。
だからって、正統医学と別のことを言えば、それが全部正しいって理屈にはならないわけです。
謙虚!! そら結構ですが、連中は謙虚なんですか。
正統医療の欠陥をあげつらって、自分らの正当性の根拠にして、飯のタネにしてる人々は。

投稿: gonta | 2010/08/29 00:18

初めまして、OSATOと申します。ホメオパシーを追ってここにたどり着きました。
管理人さんはエントリー中で日本学術会議がホメオパシーを拒否した事をお怒りになっておられますが、ホメオパシーを拒否してるのは別にここだけではなく、世界中の科学者が認めていないという事はご存知でしょうか?
今回の発表について、その後の詳しい報道がなされていましたので紹介いたします。↓
http://www.asahi.com/health/feature/homoeopathy_0828_01.html
これによりますと、日本学術会議はずいぶん前から準備してきた事がよく分かり、決して不勉強ではなかったと私は思います。

投稿: OSATO | 2010/08/29 00:27

いろいろな意見をありがとうございました。

特に反論だとは思っていないので、その反論は書きません。
ちなみに、唐木さんの記事は読ませてもらっています。
私にはいくつか違和感がありましたが。

私も以前は統合医療研究会に参加したりして、少しは医療のことも勉強しましたが、
30年ほど前にはかなり動きがあったホリスティック医療もうやむやになった感じもしますし、統合医療に取り組む医師たちも相変わらずの還元主義的な発想で、驚いた記憶があります。

もちろん補完医療がすべて正しいと思っているわけではありません。
漢方だって副作用はありますし。
ただすべてが間違っているわけでもないわけです。

梶田昭さんの「医学の歴史」(講談社学術文庫)を読むと、医学の世界においても、『科学的な明確な証拠』なるものを理解できませんので、「明確に否定」という表現には違和感があります。
科学もパラダイムが変われば、大きく変わってきた事は歴史が示しています。

しかし、私自身はそうしたことを問題にしているのではなく、
学びあうことがもっとあって良いのではないかと思うのです。
それに本文に書いているように、
ホメオパシーへの疑問は山のようにあります。
しかし、否定しあうことの無意味さを論じたかったのです。
しかもあまりにきっぱりと。

書き方にやや個人的体験の思いが入りすぎたことを反省します。

投稿: 佐藤修 | 2010/08/29 15:33

科学者は何も、意地悪でホメオパシーを否定しているわけではありません。
百何十年の歴史があるということは、百何十年分のデータの蓄積があるということです。

たとえばあなたが、小麦粉を水に溶いたものを毎日飲むとがんが治ると聞いたとき、それを試してみようと思うでしょうか。
治る理屈はいくらでもつけることができます。
中には、その理屈を素直に信じて、あるいはわずかな望みをかけて、それにすがる人もいるでしょう。

ホメオパシーは、これと同じです。

私の言葉だけではうまく説明できないので、ぜひこれもお読みになってください。
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20100903

投稿: しょくぱん | 2010/09/29 18:36

しょくぱんさん
ありがとうございます。

たしかにホメオパシーには200年の歴史しかありません。
その意味では近代西洋医学とそう変わりません。
しかし、そもそも医学の始まりといえるヒポクラテスも、ホメオパシー的な発想をしていました。
古代ローマの医学もそれを継承していると思います。

ですから歴史やデータ蓄積ではそうは変わりません。

それから、もし私ががんになり、それをなんとしても治したいと思っていたら、小麦粉を水に溶いたものを毎日飲むとがんが治ると聞いたら、飲むだろうと思います。
これは私の妻の体験からです。
もちろん誰がそういったか、その経験データはあるのかは調べます。
患者とはそういうものだろうと思います。
その気持ちをわからずに、頭から否定する姿勢こそが、私は「科学的」でないといっているのです。

医学の歴史の中には、ホメオパシー的発想は決して少なくありませんし、いまの西洋近代医学もそれを完全には否定していません。
免疫学にもそれはしっかりと流れています。

たしかに世上、いい加減なホメオパシー治療をやっている人は少なくないでしょう。
私もそれを体験したことは、私の記事にきちんと書きました。
しかし近代医学の治療や医薬にも同じようなことはあります。
有名な医薬の事例もあります。
だからといって、私は西洋近代医学を否定する気にはなりません。

医療はもっと謙虚でなければいけないと私は思います。

投稿: 佐藤修 | 2010/09/30 12:32

小麦粉療法だけなら、たいした問題ではありません。
しかし世の中には、みりん療法、鷹の爪療法、きゅうりの蜂蜜漬け療法などといったようなものが無数にあります。
それを一人ですべて検討するような手間を個人にかけさせないようにするのは、医療の役割のひとつだとはいえないでしょうか。

医学は、あなたが思っているよりはずっと、ホメオパシーに真剣に向き合ってきました。
ホメオパシー否定は、一朝一夕に成されたものではありません。積み重ねられた研究によって判断が下されたのです。
根拠がないというのは、「効くかどうかわからないけど理論的には効かないはずだ」、などというものではありません。
「実際に大勢の人が試したけど、それでも効かなかった」という意味です。
何といっても、レメディというものは、成分的にはただの砂糖ですから。
ただしさらに正確に言えば、「効かなかった」というのも、「小麦粉を処方されたときと同じ効果しか得られなかった」という意味です。
3分だけ診察を受けて大量の薬をもらうよりは、30分でも1時間でも話を聞いて小麦粉の入ったカプセルを渡したほうがより効果がある可能性があると、現代医学も認識してはいます。
思い込みや、話をよく聞いてもらうことの安心感といったものにも薬効がある、という言い方もできるのです。
ただ、現代医学が現実にそれを実行するには問題が多いのです。
このことが現代医学の弱点とは言えるでしょう。
(このあたりのことが、先の記事に書かれているのです。)

しかしだからといって、ホメオパシーの方法に肯定することはできません。
患者の不安を取り除くのに、砂糖を売りつけたり、現代医療を否定したりするのでは、割に合わないですし。

投稿: しょくぱん | 2010/10/05 17:39

次のような記事もあります。
http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/report22_2163.html

念のため。

投稿: 佐藤修 | 2010/10/14 08:39

近代医学はもっと謙虚であるべきというスレ主さんの意見に私も同意見です。近代医学擁護の側に立ったいくつかのコメントを読むと、暴力的とまではいかなくても唯我独尊的な雰囲気を感じてしまうのは、私だけでしょうか。これらのコメントからは、極論すれば「お前たちの命は俺たちが管理している。無知なお前たちが口出しすべき領域ではないから黙っていろ」というきわめて覇権主義的なメッセージが言外から伝わってくるのです。
思うに、これって民主主義を押し付けるアメリカが世界中で嫌われているのと似た構図なのでは?自らの命は自らが管理することすら許されない時代になってしまったのでしょうか?

投稿: ronin | 2010/11/23 11:19

roninさん
ありがとうございます。
対応が遅くなってしまいました。

コメントに同感です。
ただ
>自らの命は自らが管理することすら許されない時代になってしまったのでしょうか?

という点に関しては、そうだからこそ、私たちがしっかりと自らの生を生きなければいけないということなのだろうと思います。
他者に管理された人生は、私は避けたいと思っています。

命を管理する医療ではなく、生を支援する医療になってほしいと思っています。
そういう思いから5年ほど前に、「ヒポクラテスの会」を発足させましたが、妻の病気で活動できなくなってしまって、持続できませんでした。
いつかまたそういう会を考えたいと思っています。
私の人生において、間に合うかどうかは自信がありませんが。

投稿: 佐藤修 | 2010/12/02 13:25

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