■節子への挽歌1091:とてもうらやましい来客
節子
昨日、とてもうらやましいお客様が来ました。
会社時代の同僚の増山さんが久しぶりに湯島に来てくれたのです。
節子も会ったことがあるはずですが、増山さんとは職場や仕事が一緒だったことはないのですが、なぜかお付き合いが続いています。
人の付き合いは本当に不思議なものです。
増山さんは私よりも年上ですが、今は大阪にお住まいです。
今回は東京に4日ほど滞在なのだそうです。
奥様もご一緒だそうで、いまはそれぞれに人に会っていて、私に会った後、落ち合うのだそうです。
私がうらやましく思ったのは、この4日間の増山ご夫妻の過ごし方です。
それぞれがこれまでお付き合いのあった人たちに会ってまわっているのだそうです。
2人の共通の知人にはお2人でお会いになっているようです。
ですから私のところにも別に用事があったわけではありません。
2時間ほどお話して、ところで今回は何か用事があったのですかと聞いたら、そのことを教えてくれました。
私は会社時代の友人として選ばれたようです。
実に光栄です。同じ職場でもなかったですし、年下でもあるのですが。
いかにも増山さんらしいと思いました。
そのことを聴いた時に、増山さんは別れに来たのだろうかと一瞬思ってしまったのですが、奥さんもご一緒だと聴いてどっとうらやましさが高まりました。
夫婦の人生を確認しながら、時には別々に、時には一緒に、此れまでに心に残った人と歓談の時間を過ごす、なんと贅沢な旅でしょう。
私も、節子とそんな旅をしたかったと思います。
実は節子が病気になってから、節子は昔の友だちに会いに行きだしました。
私もそれに同行させてもらいました。
みんなとてもあたたかく節子を迎えてくれましたし、みんなそこからまた新しい付き合いが始まるだろうと思っていたはずです。
節子と同世代の友人たちは、みんな子どもたちも独立させ、生活を楽しむ時期に入っていた頃だからです。
そしていろいろな付き合いが始まりだしました。
しかしそれは長くは続きませんでした。
おそらく節子に会った友人たちはやせたとはいえ元気そうな節子を見て、思ってもいなかった人が少なくないでしょう。
節子はあまりにも早く逝ってしまったのです。
増山さんの話を聞きながら、なぜあの時に、もっとたくさんの人のところに節子と一緒に行かなかったのだろうかと後悔しました。
私は、人生の前にしか興味のない人間でした。
だから節子の思いをきちんと理解できなかったのかもしれません。
良い夫だと思っていましたが、どうもできの悪い夫だったようです。
彼岸に行ったら、この埋め合わせをしなければいけません。
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