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2010/08/06

■需給が逼迫しているからこそ安く売る努力をする企業

最大6割引き!イトーヨーカ堂、野菜値下げ販売
大雨と猛暑の影響で野菜価格が高騰しているようですが、そうしたなかで、イトーヨーカ堂がこの週末、野菜約10品目を約2~6割引きで販売するという記事が今朝の読売新聞に出ていました。
とてもホッとできる話です。

最近の経済理論から言うと、需給関係によって商品の価格は決まるとされています。
供給が少なくなれば当然価格は高くなり、金持ちしか変えなくなっていきます。
これが今の経済学の市場理論です。
私はそうでない市場理論があると思っていますが、イトーヨーカ堂の行動は、それを示唆しています。

最近、話題のマイケル・サンデルの「これからの正義の話をしよう」も、その書き出しは、2004年に発生したフロリダのハリケーン被害の後に起こった物価高騰の是非の話です。
サンデルが引き合いに出している話と今回のイトーヨーカ堂の話は、もちろん種類の違う話です。
サンデルが例に出す被害を受けて生きるか死ぬかの状況にある人の弱みに付け込んだ値上げの是非の場合は、まさに倫理観になりますが、イトーヨーカ堂の行為は経済行為でしかないともいえます。
しかし、よく考えてみると、この2つは違っているようで通底しています。
それは、新しい市場理論の可能性を示唆しているという点です。

市場原理主義は最近少しなりをひそめていますが、市場論理は一つではないと考えるべきでしょう。
これまでの市場理論とは違った、市場理論があるのだろうと思います。
それは「正義」の話ではなく、「論理」の話です。

論理は金銭や数量だけで成り立つのではありません。
限られた資源を効果的に活かしていくという視点で市場論理を捉えれば、モノの需給関係だけが価格を決める市場理論は一つの各論でしかありません。

経済のパラダイムを見直していくべき時期ではないかと思います。

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