■新潟水俣病の訴訟の和解報道に思うこと
新潟水俣病の訴訟の和解が成立しました。
原告側が目指している「潜在患者も含む被害者全員」の救済に向けて、一歩前に進んだようで、とてもうれしいです。
ところで、その原告側の患者会会長の山崎昭正さんの言葉に考えさせられてしまいました。
朝日新聞(2010年10月21日夕刊)から引用させてもらいます。
阿賀野川下流のすぐ近くで生まれ育ち、子どものころから川魚をよく食べた。30歳ごろから、こむら返りなど水俣病によくある症状が出た。母親が認定されたが、自分が水俣病とは思いもせず「騒いでいる人は金が欲しいだけだ」とさえ思っていた。「騒いでいる人は金が欲しいだけだ」
2004年、主治医に水俣病と診断された。同横の症状に悩む仲間と水俣病の勉強会を開いたことが、05年の患者会結成のきっかけとなった。新潟県・新潟市の認定審査会
に申請したが、2回棄却され「裁判しかない」と決意。「人に認めてもらうため、名前も務も出して訴えよう」と、会を代表して実名を公表した。
とても「さびしい言葉」です。
問題が自分に降りかかってこないと、そういう受け止め方をすることは山崎さんに限りません。
いま話題になっている証拠改ざん事件の被害者の村木さんもそうでした。
みんな人を信じられなくなっているのです。
悲しくさびしい話です。
ケアマインドは、今の私たちからなくなってしまったのでしょうか。
同じ記事によると、水俣病によくある症状に悩んでいるのに「絶対に名乗り出ない」という人もいるといいます。
なぜこういう風に、みんな考えるようになってしまったのか。
それを考えなければいけない時期に来ているように思います。
自分の素直な心を取り戻さなければいけません。
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