■節子への挽歌1138:紅葉の思い出
節子
紅葉の季節になりました。
節子の病状が少し回復してから、各地の紅葉狩りに節子と一緒に出かけました。
そのせいか、節子がいなくなってからは紅葉も見たくなくなっていました。
紅葉時の箱根に行った時には、下を向いて歩いたほどです。
しかし3年して、ようやく紅葉への抵抗もなくなってきました。
「時間が癒すことがない」と言いきっていましたが、時間が癒すこともあるのですね。
もっとも、これを「癒し」と言うべきかどうかは少し迷いますが。
紅葉といえば、思い出すのは節子と行った京都高尾の神護寺です。
いつのときだったか思い出せませんが、実に見事な紅葉でした。
節子がまだ病気になる前でした。
高雄には、高雄、槇尾、栂尾の三尾と呼ばれる紅葉の名所があります。
節子と結婚した頃、よく京都や奈良を歩きましたが、京都で私が好きだったのは、この三尾です。
そのコースの一番奥のほうには、たしか北山杉の森が見えていたような気がします。
初めてみた北山杉の風景に感激したのを覚えています。
そこから節子と2人で高雄まで歩いた記憶があります。
私たちは、よく歩きました。
歩きながらよく話しました。
私も節子も、一番好きだったのは栂尾の高山寺でした。
その大きな石畳をはっきりと覚えていますが、最後に2人で三尾を訪ねたときは秋だったせいか、ともかく神護寺の鮮やかな紅葉の印象が強く残っています。
その高山寺にも神護寺にも、2度と行くことはないでしょう。
行けば辛くなることはわかりきっています。
節子と一緒に行った最後の紅葉は、もしかしたら東京の高尾山かもしれません。
私のパソコンの画面は、その写真になっています。
実は高尾山は結婚する前に節子と一緒に行った最初の東京の山でもあるのです。
今年は思い切って、むすめたちと高尾山に行こうかと思い出しています。
別に紅葉が見たいわけではないのですが、私がシェアしている節子の思い出を娘たちにも伝えておきたくなったからです。
今年の紅葉はとてもきれいなそうですし。
もちろん、節子の美しさには勝てないでしょうが。
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