« ■私が垣間見る若者の世界 | トップページ | ■節子への挽歌1134:阿修羅 »

2010/10/09

■節子への挽歌1133:冬の時代

節子
黒岩比佐子さんから最新著作の「パンとペン」が送られてきました。
まずは節子に報告させてもらいました。
今夜は節子の前においておくので、必ず読んでください。

黒岩さんが堺利彦のことを書くという話は前にお聴きしていました。
しかし、なぜ堺利彦なのかは教えてくれませんでした。
本書の帯に書かれた「あとがき」からの抜粋でわかりました。

堺利彦が幸徳秋水と共に日露戦争に反対して設立した平民社のことは、これまでに多くの歴史書が取り上げている。一方、堺が社会主義運動の「冬の時代」を耐え抜くために設立した売文社は、ほとんど無視されているに等しい。だが、私は「売文社」という語の強烈なインパクトに惹きつけられた。
黒岩さんらしい「はじまり」です。
黒岩さんのことですから、膨大な資料と格闘しながらの著作活動だったと思います。
それを彷彿させる重量感のある本になっています。
黒岩さんのこだわりも、さまざまなところで感じられます。

しかし、本書を書き上げる直前に、黒岩さんは突然、膵臓がんを宣告されたのです。
その知らせを受けた時には、私は応えようがありませんでした。
何も話せない、何も書けない、まさに金縛りの状況に陥ってしまいました。
黒岩さんを元気づける方法が思いつかなかったのです。
黒岩さんからどう思われてしまったかわかりませんが、ともかく反応できなかったのです。
その後も、共通の友人からお見舞いに行こうと誘われましたが、行けませんでした。
節子がいたら、2人ですぐにでも跳んで行ったでしょう。
しかし、節子のいない今は、とても行けません。
友人は、私の考えすぎだと言いますが、ともかく行けなかったのです。

先日、黒岩さんのトークショーに行き、楽屋で黒岩さんに会いました。
とても元気そうで、あの気丈な黒岩さんがいました。

黒岩さんは節子をよく知っています。
節子の見舞いにも、節子との別れにも、節子への献花にも来てくださっています。
節子は黒岩さんの活躍をとても楽しみにしていましたし、その頑張り屋さんぶりにもいつも感心していました。
ですから、本は先ず節子に報告し、読んでもらうことにしたのです。

黒岩さんは、自らの病気のことをブログに書いています

黒岩さんは、本書のあとがきには、こう書いています。

はたして最後まで書けるだろうか、という不安と闘いながら、なんとかここまでたどりついた。死というものに現実に直面したことで、「冬の時代」の社会主義者たちの命がけの闘いが初めて実感できた気がする。いまは、全力を出し切ったという清々しい気持ちでいっぱいだ。

私の「冬の時代」はまだ続きそうだが、どんなに苦しいときでも、堺利彦のようにいつもユーモアを忘れず、楽天囚人ならぬ「楽天患者」として生きることで、きっと乗り越えていけるだろうと信じている。

黒岩さんならそうできるだろうと、私も心底思います。
黒岩さんには、まだまだ書いてほしいです。
本書も、堺利彦に関する黒岩さんの思いの、おそらく一部でしょう。
まだまだ書きたいことが山のようにある。
書いてほしいことが山のようにある。

毎朝、節子と一緒に、黒岩さんの活躍を祈っています。
阿修羅像を思い出しながら

(追記)
ホームページに「パンとペン」の紹介記事を書きました

|

« ■私が垣間見る若者の世界 | トップページ | ■節子への挽歌1134:阿修羅 »

妻への挽歌06」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ■節子への挽歌1133:冬の時代:

« ■私が垣間見る若者の世界 | トップページ | ■節子への挽歌1134:阿修羅 »