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2011/01/31

■節子への挽歌1247:節子の失踪

娘のジュン夫妻が今朝、イタリアとスペインに出かけました。
それぞれ料理タイルづくりの学びが中心の旅ですが、昨夜遅くなって、ジュンが節子を連れて行くと言い出したのです。
節子とは20年ほど前にスペインに行く予定でしたが、同居していた母の関係で直前に止めてしまったのです。
スペインは歴史豊かなところですので、私も行きたかったところです。
そんなこともあったので、ジュンは節子を連れていこうといい出したのです。

それで気がつきました。
最近、小節子(こせつこ)がいないことに、です。

小節子とは、私といつも一緒にいる節子のことです。
小さな容器(偶然にもスペイン製)に節子の遺灰と心が入っているのですが、それをいつも私は持参していたのです。
ジュンがスペインに同行しようとしたのは、その小節子なのですが、そういえば最近、小節子を持ち歩いていなかったどころか、その存在すら忘れていたのに気づきました。
この数か月ほど、小節子に会った記憶がありません。
慌てて探し出しましたが、どこにもありません。
この半年、着ていた服や使っていたかばんなどを調べましたが、出てきません。
最近の私の仕事部屋はごみ屋敷のように書類や書籍の山ですので、そこに埋もれているかもしれないと思い、引き出しの後ろからすべて探しましたが、見つかりません。
もしどこかに置き忘れてきてしまったとしたら(実は一度ありました)、あまりに長い時間が過ぎているので、もう見つからないでしょう。
それに、見つけた人がヘロインかと思って飲んでしまったら、節子はどうなるのでしょうか。
いやはや困ったものです。
あるいは、節子が怒って、家出してしまったのかもしれません。
半年近くも忘れていたのですから、まあ仕方ありませんが、捜索願も出しかねます。

諦めてパソコンの前に座ったら、なんと目の前のパソコンの画面の下に小節子がいるではないですか。
確か、先ほど探した時にはいなかったはずなのに、もしかしたら、すねた節子が一瞬隠れていたのかもしれません。
いかにも節子らしいです。
節子を見つけたのは夜の11時。
しかし無事、節子はジュンたちと一緒に先ほど成田を発ちました。
節子がとても好きだったフィレンツェとスペインを楽しんでくることでしょう。
私は、そのいずれにも行ったことはないのですが、私の分まで楽しんできてほしいと思います。

しばらく小節子はいませんが、実は中節子(ちゅうせつこ)もいるので、さびしくはないのです。
ジュンたちが、小節子をスペインに置いてこなければいいのです。

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