■トップの人はどうしても現実に疎くなります
エジプトが大変です。
それに関連して、さまざまな情報がインターネットで駆け巡っています。
そうした情報を読むと、マスコミの報道がいかに偏っていて、遅いかがよくわかります。
テレビで世界の動きを知る私たちが、いかに現実とは違う世界にいるかがよくわかります。
まさにパラレルワールドの出現です。
日本の国際の格下げに関して、菅首相の「疎い」発言が話題になっていますが、情報がもっとも遅く届くのは権力の頂点にいる人かもしれません。
というのは、届くまでに正確さや詳しさを精査するプロセスがありますので、どうしても時間差が生まれるのです。
皮肉なことに、情報は常に動いていますから、実のところ正確さなど期待しようがないのですが、これまでの静態的な情報観に囚われている人にはそれが理解できません。
情報とは本来自己増殖性や情報創出性を持っており、常に自らの姿さえ変えていきますし、仮に事実無根の情報であろうと、その出現が、つまり虚なる情報が実なる現実を生みだすことも少なくないのです。
それがまさに情報社会なのですが、社会がそれを仕組みとして消化するにはもう少し時間が必要でしょう。
チュニジアの事件はツイッターから生じたとも言われていますが、それが事実かどうかはともかく、ツイッターが爆発的な人の動きを起こすという認識が生まれました。
認識が生まれれば、事実は間違いなく起こるでしょう。
エジプトが、その再現になるかどうかはわかりませんが、いまのところ双方がその認識を踏まえて動いているような気がします。
エジプトの現場を見たわけではないので、エジプトでどの程度の暴動的なデモが起こっているかどうか、私には確信は持てませんが、右にも左にも動くマルチチュードの力が感じられます。
それにしても、日本は完全に情報社会から脱落してしまっているような気がします。
日本は情報社会というよりも、情報管理社会と言うべきかもしれません。
トップにとって大切な情報は、管理された情報ななおかもしれません。
つまり宿命的に「情報に疎くなる」のがトップなのです。
パラレルワールドですから、それでなんの不都合も起こりません。
困ったら「事実」を創出すればいいだけの話です。
「消費税も仕方がない」と国民に思わせる事など、そう難しいことではないことは証明済みです。
私もまた、そうした管理された情報の世界で、今日もぬくぬくと安逸を貪っているのですが。
国会審議はあまりにも退屈です。
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