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2011/01/18

■「超就職氷河期」という認識でいいのか

今年の大卒就職内定率は70%に達していないようです。
実際には公式統計以上に低いのではないかと思いますが、朝日新聞によれば、就職氷河期といわれた2000年よりも低く(当時は70%半ば)、まさに「超氷河期」には云っているようです。

私自身は、こうした状況を「氷河期」と捉えていいかどうかどうかには疑問を持っています。
いまの雇用システムや経済システムを前提にすれば、今の状況が改善されるとはなかなか思えないのです。
政府は「雇用増大」を目指して、法人税を下げようとしていますが、そんなことで雇用が増えるはずがありません。

オートメーション化やIT化により、人が担う仕事は大幅に減っています。
一説によると、この数十年で1/5になったということを本で読んだ記憶もあります。
1980年代には「ジョブレスの時代」の到来が話題になっていました。
しかもその間、人口は増えてきているのです。
そのため景気が回復しても働く場は増えず、失業率は改善されないというような状況が実際に起こっています。
つまり経済のシステムが変わってきているのです。
景気が悪いから就職内定率が改善されないと考えていていいのでしょうか。

もっとも、大きな流れからいえば、これからの日本は、いわゆる生産年齢人口は減少していきますから、逆に働く人がいないという状況も危惧されています。
話はいささか複雑なのです。

つまり2つの要素で、社会の構造変化が起こっているわけですが、
偶然にもその2つは反対の方向性を持っているため、現実には問題を隠しあう関係になっています。
そこが悩ましいところです。

しかし単に雇用を増やせ、景気を良くしろ、というだけでいいのでしょうか。
大きな構造が変わりだしているのです。
就職難の時代ではなく、もっと大きな枠組みの変化が起こっているのです。
しかし発想はなかなか変わりません。
むしろ構造変化が始まった30年前よりも、発想は保守化し、後退しているように思えてなりません。
発想を変えれば、問題の解決策は見えてきます。
長い視野で新しい状況に向けての動きをはじめなければ、何も変わりません。
経済はいま、枠組みから考え直すべき時期に来ているように思います。

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