■NHKは「無縁社会」を推進したいのでしょうか
わたしは、いま、怒っています。一条真也さんからのメールです。 NHKが[無縁社会]をテーマにした本を出したのですが、それを読んで、NHKに対して怒っているようです。
早速、一条さんのブログを読みました。
長いです。それだけで一条さんの怒りの大きさが伝わってきます。
それを知った以上、私も書かなければいけません。
私もNHKの「無縁社会キャンペーン」には憤っています。
最近、NHKの会長を誰にするかが話題になっていましたが、まともな人が会長になったら、こんな破廉恥なキャンペーン(発想が逆です)は見直すでしょうが、議論しているメンバーにはそんな感受性はないかもしれません。
現実を変えていくのがキャンペーンの意味であって、現実を追随し問題を固定化させることはキャンペーンというべきではありません。
少なくとも私の視聴料金は使ってほしくありません。
問題を創りあげて「利益」を得るのが、近代産業の常套手段です。
いわゆる「ソリューションビジネスモデル」ですが、社会の成熟化により、生(なま)の問題がなくなってくると、自分たちで問題を創り出すというおかしなことが起こり出します。
これは「産業のジレンマ」の典型例ですが、無縁社会論も、その言葉と事実をはやらせることで私服を肥やす人は少なくないのです。
一条さんの怒りは、そのブログを読んでもらうとして、要旨を少しフォローしておきます。
一条さんが読んだのは、『人はひとりで死ぬ』(島田裕巳著 NHK出版新書)です。
サブタイトルは、『「無縁社会」を生きるために』。
その内容は「無縁社会肯定論」「孤独死肯定論」のようです。
一条さんのブログには、それが引用文も含めて解説されています。
驚くべきことに、本書の「おわりに」は次のように結ばれているそうです。
「私たちは死ぬまで生きればいい。
その単純な事実に気づき、これからの生をどのように送っていけばいいかを理解できるようになる。
そのとき、無縁社会は恐れの対象ではなくなる。
無縁社会は、逆に自由で、豊かな可能性を帯びた社会にも見えてくる。」
(引用文は一条さんのブログからの間接引用です)
著者の島田さんは、オウム真理教を擁護した宗教学者で、そのことで社会からの厳しいバッシングを受けた人だそうです。
よりによってそうした人をNHKは選んだのです。
もし、「無縁社会や孤独死を肯定する本を書いてほしい」とNHK出版が依頼したとしたら、これは大問題です。
一条さんは、「本書がNHK出版から刊行されたことが非常に残念」と書いていますが、残念どころか私は悪意を感じます。
一条さんは、ただ怒っているだけではありません。
人の縁を育てる仕事に取り組みながら、社会活動としての隣人祭りの開催などにも熱心です。
一条さんは、NHKは「無縁社会」という言葉を流行させ人々に不安を与えるだけではなく、無縁社会を打開する具体案について報道するべきであると書いています。
同感です。
私もNHKの記者がいるイベントで同じことをお話したことがあります。
流行らせるなら「有縁社会」という言葉です。
前に書いたように、言葉は現実を創りだす力をもっているのです。
新しい会長にはぜひそうしたことを考えてほしいものです。
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コメント
無縁社会、というのを検索していて本ページに辿り着きました。
そして、他のいくつかのブログを拝見しました。
大変興味深い内容ばかりです。
私は昨年の10月にブログを始めたばかりで、ひよっこですが、もしよろしければ立ち寄ってみてください。http://makimakiro.exblog.jp/
投稿: まきまきろう | 2011/02/12 02:55