■今年後半から景気は回復するそうですが
経済3団体の新年祝賀会での経営者の発言をテレビで聞いていて、なんとまあこの人たちは能天気なのだろうと驚きました。
大方の人は今年後半には景気は回復するという考えのようです。
「アジア市場の果実を日本も享受する時代になった」というローソンの社長の発言も、「日本は高い付加価値のある商品の輸出や現地生産で対応していける」という昭和電工の社長の話も、印象的でした。
菅直人首相も国内の雇用や投資の拡大を呼びかけたようですが、これもまた私には印象的でした。
つまり、みんな自助努力をしようという気がないのと現実に貧困問題がこれほど広がっている現実には無関心なのです。
中国の市場が拡大すればローソンという会社は利益を上げるでしょう。
現地生産を増やせば、会社の業績は維持できるでしょう。
でもそれでいいのでしょうか。
私が会社に入った頃、経営者の責任は雇用の場を増やすことだという人が多かったような気がします。
わけのわからないメセナ活動や社会貢献活動などの話はあまり聞きませんでしたが、経済同友会も経営者の責任論を明確に議論し発表していました。
そして自らのリスクをかけて、技術的にもマーケティング的にも、イノベーションを進めていました。
数年前からまた財界が言葉だけのイノベーション論議をしていますが、いまの経営者には本気でイノベーションしようなどと思っている人はいないでしょう。
ただ自らの保身のために汲々している似非経営者が増えました。
だからこそ「イノベーション」を口にするのでしょう。
やっている人はそんな言葉を使いません。
若者が働きたくても働く場がない。
働く喜びを持てずに、むしろ働くことへの不安がある。
すでに企業に入って働いている人のメンタルヘルスは悪化している。
こういう状況を経営者はどう思っているのでしょうか。
せめてそうした現実への心遣いの言葉を発するべきではないかと私は思います。
つい最近まで経団連のトップだった御手洗さんのが経営していたキャノンの現実をマスコミはもっと報道すべきです。
どれだけの人が、そこで「モノ」のように扱われたかを、私たちはもっと知るべきです。
そういう実態を少しでも知っていたら、法人税減税などが「雇用の拡大」につながるなどという馬鹿げたことを考えないでしょう。
経済人は、新年祝賀会ではなく新年反省会を開催すべきです。
あまりの腹立ちに、1日、時間を置いて書いたのですが、やはり怒りがまた高まってきてしまいました。
ところで、今年後半から景気が回復するそうですが、だからなんだというのでしょうか。
私たちの暮らしもよくなるのでしょうか。
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