■名古屋銀行の快挙
友人から教えてもらって「平等社会」という本を読みました。
公表されているデータを駆使して、経済的格差が社会問題や健康問題と深く関わっていることを検証しています。
そして、日本と北欧はまだまだ格差の少ない平等社会であることが示されています。
ところが、その日本の社会がいま急速に変質し、格差社会に向かっているといっていいでしょう。
格差を広げる要因はいろいろあります。
人口も工業生産額も右肩上がりに増えている時代には効果的だった仕組みが、右肩上がり状況から反転した途端に機能障害を起こしているものも少なくありません。
たとえば、企業の新卒者の一括採用システムもその一つです。
今年は大学卒業者の、少なくとも3人に1人は就職が決まっていないようですが、その人たちは社会に入る入り口でつまずいてしまった結果、格差社会の下層へと向かう確率がかなり高くなってしまうといっていいでしょう。
つまり学校を卒業した時点で、人生が決まってしまいかねない状況が、いまの若者を待ち受けているのです。
念のためにいえば、うまく企業に入社したところで、そう楽観はできません。
就職活動のためにきちんと学校では学べなかった人や企業の実態をじっくりと考えなかった人が、ミスマッチに気づいてせっかく入社した企業を辞めていく比率はかなり高いのです。
辞めずにがんばるためには、自らを捨てなければいけないというような状況もあります。
いま、人材育成研究会という場で、私もこうしたテーマを議論していますが、大きな仕組みを変えなければいけないと思っていました。
しかし、どうもそんなに大げさに考えなくてもいいかもしれないことを思い知らされました。
今日の新聞で、名古屋銀行が来年度から、卒業後3年以内の既卒者も、新卒扱いで採用すると発表したと報道されていました。
個別企業でもやれることはたくさんあります。
そのことを忘れていました。
こうしたちょっとしたことの積み重ねで、社会は変わっていくのかもしれません。
名古屋銀行が形だけではなく、しっかりと実質的に実行してくれることと、こうしたことが他の企業にもどんどん広がっていくことを期待します。
それぞれが持ち場持ち場でできることに取り組むこと、いま求められていることはそういうことかもしれません。
これは何も企業に限りません。
個人においても同じことです。
やれることをやっていく、改めて自分の生き方を考え直したいと思いました。
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