■節子への挽歌1284:花粉症でなくても涙は出ます
節子
最近また迷走しがちです。
春のせいでしょうか、凍えていた気持ちが起きだしたのでしょうか。
気持ちが上下します。
わけもなく不安になったり、わけもなく沈んだり、わけもなく動き出したり。
「病院の待ち時間」にコメントが書きこまれました。
読んでいるうちに、涙が出てきてしまいました。
春のせいでしょうか。
ともかく止まらない。
実は、涙はこのコメントだけではありません。
その直前に本を読んでいたのですが、なぜか涙が出てきたのです。
普通なら涙が出るような本ではありません。
岩波新書の「人が人を裁くということ」という、小坂井敏晶さんの本です。
とても考えさせる本です。
しかし涙が出たのは、その本論ではありません。
「あとがき」に紹介されていた、フランスであった話です。
引用させてもらいます。
強制退去処分を受けた不法滞在アフリカ人が、パリ・ドゴール空港に移送され、旅客機の座席に縛り付けられた。そのとき、来客十数人が警察のやり方に抗議して、シートベルト着用を拒否した。飛行機は離陸できない。結局、抗議者は全員逮捕され、警察署に連行される。その中に、パリ第八大学で勉強するマリ出身の女子学生がいた。それを知った学長は、彼女の救援活動を組織するよう全教員に要請するとともに、学生を警察署に引き取りに行った。この文章に、なぜか涙が出てしまいました。
なぜ涙が出るのでしょうか。
著者の小坂井さんは日本なら逆に、学生を叱責し、警察に謝罪する学長の方が多いだろう、と書いています。
最近、よく思うのです。
今の日本は、死者の国ではないかと。
もしそうであれば、私自身が死者ということです。
おまえは、シートベルトを拒否できるか、そう問われているような気がします。
「病院の待ち時間」にコメントをくださったライムさんは、「奥様への想いは、優しいですね:と書いてくれました。
しかし、優しさには強さもなければいけません。
最近、気が弱くなっています。
春だからでしょうか。
節子は、春が好きでした。
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