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2011/04/05

■節子への挽歌1311:ヨモツヒラサカの巨石

彼岸と此岸の間を行き来できなくなったのは、日本の場合、7世紀ころだと思われます。
それまでは彼岸につながる通路は、おそらくいたるところにあったのでしょう。
その通路が断ち切られたのは、イザナギの愚行です。
彼岸に旅立ったイザナミを追いかけて黄泉の国に行ったのはいいのですが、黄泉の国での妻の姿に恐れをなして、逃げ帰ってきたのです。
イザナギの裏切りによって、彼岸と此岸をつなぐ通路だったヨモツヒラサカは、千人で押しても動かないほどの巨石でふさがれてしまったのです。
これは「古事記」に語られていることです。

巨石でふさいだのは誰か。
西條勉さんは、近著「古事記神話の謎を解く」(中公新書)で、それが行われたのは日本書記や古事記が編纂された時代だと言います。
だとしたら、天武か持統か、あるいは藤原不二等かもしれません。
なんとまあ、罪つくりのことをしでかしたものです。

しかし、ふさがれたものであれば、また通ずることもあるでしょう。
もしかしたら、今回の原発事故が奇跡を起こすかもしれません。
巨大なエネルギーは、時に時間軸を、そして空間軸を組み換えてしまいます。
先月起きた大地震は、それほどのエネルギーはもっていなかったでしょうが、その発端だった可能性はあります。
それに、これまた不謹慎な話ではありますが、福島原発の先行きは、そう楽観できるものではありません。
残念ながらチェルノブイリ以上の惨事になるおそれさえあります。
それがいつ起こり、どこまでいくのかは、わかりませんが、一つの世界が終わったことは間違いないでしょう。
その渦中にいる私たちには、おそらく最後まで気づかないほどの大きな変化を起こしていくはずです。

その変化の一つとして、ヨモツヒラサカの巨石が粉々に壊されてしまうことは、十分にあり得ることです。
愚かな妄想と思われるかもしれません。
しかし、世の中に、絶対の公理などないのです。
可能性がゼロの予想は、ありえません。
予想できることは、すべて可能性があることなのです。

もし彼岸に行けたとしたら、どんな節子に会えるのか。
いささかの不安といささかの楽しみがあります。
いささかの覚悟も必要でしょうが。

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妻への挽歌07」カテゴリの記事

コメント

僕の妄想は、放射線を浴びたことに寄って日本人からミュータントが生まれるのではないか?というものです。
XMENの世界ですね(^-^*)
自分が何らかの超能力を使えるようになったらいいな、という妄想でした。

投稿: YOTU | 2011/04/05 11:45

YOTUさん
もうそうも念じていると実現するかもしれません。
もし超能力が身についたら、私も頼みたいことがあるのでご連絡下さい。

ところで、YOTUさん
最近、姿を現しませんね。
たまには湯島にもお越し下さい。

投稿: 佐藤修 | 2011/04/07 17:06

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