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2011/05/23

■ペイフォワード

東日本の大震災が起きた日、東京では帰宅の足を奪われた人がたくさんでました。
都内に残った人もいましたが、歩いて帰宅した人たちも多かったようです。
その人たちの通り道に出店していた八百屋さんが、お店の食材を使って、小さなおなべを2つ使ってお味噌汁を作りつづけ、疲れて歩いていた人たちに振舞ったという話を昨夜テレビでやっていました、
寒い日でしたので、みんな寒さに震えながら歩いていたそうですが、その八百屋さん(たぶん)は1000杯のお味噌汁を振舞ったそうです。
たぶん寝ずに作り続けたのでしょう。
なめこ汁を振舞ってもらった人がそのお店にお礼に行った話でした。
その人は、たしかこう話していました。
見ず知らずの人にお世話になるありがたさがほんとうにわかったので、自分も誰かの役に立つ行動をしたい。
こうやって、親切は広がっていくのですね。
不正確かと思いますが、そんな主旨の話でした。

これは「互酬行為」ではありません。
ペイフォワードなのです。
互酬にはともすると打算が無意識に作動します。
しかし、ペイフォワードは打算が入りこむ余地は少ないです。

お店の商品を使って、その人は疲れた被害者たちにお味噌汁を無料で振舞いました。
その時に、1杯100円で販売しても売れたかもしれません。
10万円の収入を得たかもしれません。
しかしその人は、おそらくそんなことなど思いつく暇もなく、お味噌汁を作り続けたのでしょう。
そしてたくさんの人の心と身体をあっためたわけですが、一番心身があったまったのはご本人だったと思います。
それに比べれば、10万円などどうでもいい話だろうと思います。

人にとっての最高の喜びの一つは、誰かの役に立つことだろうと思います。
喜ぶ顔が、最高の報酬です。
しかし、そういうことをやるのが、難しい時代になったのかもしれません。
それが今回の大震災のおかげで、やれる状況がいろんなところで生まれてきているように思います。

誰かに感謝できることもまた、最高の幸せの一つです。
感謝されることも感謝されることも、もっと増えてもいいでしょう。
その気になれば、いずれも自分でやれることです。
それは誰かのためではなく、間違いなく自分のためなのです。

感謝という言葉を、改めて大事にしようと思いました。

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