■節子への挽歌1340:「見知らぬわが町」
節子
久しぶりにテレビドラマを見ました。
NHK福岡放送局が昨年12月に放映した「見知らぬわが町」です。
今日、全国放映されたのです。
このドラマのことは、福岡の西川さんから昨年の放映時にお聞きしていました。
劇中にかなり重要な役割を果たすハーモニカ演奏を西川さんが指導されたのです。
舞台は福岡県大牟田市。かつて炭鉱で栄えた町です。
ドラマは次のように展開します。
主人公は16歳の高校一年生。不登校に悩んでいる。
夏休み最後の日、憂鬱な気分を振り払うかのように、自転車で町外れに出掛け、そこで目にした巨大な廃墟に不思議と心を奪われてしまう。
それは、この町の過去の象徴とも言うべき、炭鉱のヤグラだった。
それをきっかけにして、彼女はどんどん町の歴史にのめりこんでいく。
それと並行して、家族の過去が見えてくるのです。
詳しくはNHKのサイトを見て下さい。
サイトには制作エピソードなども出ていて、とても面白いです。
主人公は早くして母親を亡くしています。
それはストーリーとはあまり関係はありませんが、見ている私には大いに関係がありました。
妻がいなくなると、母親がいなくなると、家族は変調を来たします。
しかし、それもこのドラマにはあまり関係はないでしょう。
にもかかわらず、涙が出たのはなぜでしょうか。
恥ずかしながら中途半端な涙ではなく、一緒に見ていた娘の手前、嗚咽をこらえるのがやっとのほどでした。
これほどの涙は、節子と一緒に見たアンゲロプロスの『永遠と一日』以来です。
おそらくそこに描かれていた、3世代の家族の、それぞれの生活ぶりが、私の何かにひっかかったのです。
明らかなのは、いしだあゆみが演ずるおばあさん役を、節子が演じられなかったことです。
あるいは老夫婦の姿を私が演じられなかったことです。
一緒に、慎ましやかに老いていくのが私たちの夢でした。
テレビを見終わってからもう2時間以上たちますが、まだ涙が止まりません。
節子に会いたい、苦しいほどにそう思います。
| 固定リンク
「妻への挽歌07」カテゴリの記事
- ■第1回リンカーンクラブ研究会報告(2021.09.06)
- ■節子への挽歌1400:世界で一番孤独な部屋には「孤独」はない(2011.07.03)
- ■節子への挽歌1399:そうだ 奈良にいこう(2011.07.02)
- ■節子への挽歌1398:消えてしまった老後(2011.07.01)
- ■節子への挽歌1397:暑い夏の夜は嫌いです(2011.06.30)
コメント