■「資本主義はどこへ向かうのか」
西部忠さんが最近出された「資本主義はどこへ向かうのか」(NHKブックス)を読みました。
http://astore.amazon.co.jp/cwsshop00-22/detail/4140911735
西部さんとは面識はありませんが、以前から地域通貨に関する論考で、学ぶことの多い人でした。
本書のサブタイトルは「内部化する市場と自由投資主義」です。
久しぶりに知的興奮を感じながら読みました。
私がワクワクしたのは、「言語」と「貨幣」をつなげて考えている発想です。
これまでの西部さんの論考では、あまり読み取れなかったのですが、実に納得できました。
私が「ジョンギ」で目指したかったことがようやく自分でも理解できました。
ところで、最後の「おわりに」に書かれていた西部さんの言葉が、一昨日書いた記事(「消費しなでもいいのだ」)に重なるような気がしたので、ちょっと長いですが、引用させてもらいます。
グローバリゼーションとは、わたしたち自身の内部における、無意識のレベルにおける価値や規範、思考習慣の変容を伴ってもいる。それはあたかも、わたしがペットボトルの水に小さな違和感を感じつつも、やがてそのことを忘れて、日々、貨幣でペットボトルの水という商品を買い続けたように。気楽に読めるという本ではありませんが、地域通貨(私はコモンズ通貨と呼んでいますが)にご関心のある人にはお薦めします。それだけではない。わたしたちはあたかも資本家のように費用を節約し、より新しい技術や商品、有望な収益機会に投資して利潤を上げるように考え、判断し、行動することを強いられるようになっているのではないか。人々は、日々、先物やFXに投資し、自らの人的資本に投資する。それは必ずしも自ら望んだものではない。どこか外部から強いられた強迫観念のようなものである。わたしたちの意識はそれによって操作されているとも言える。それこそ、まさに内なる制度でないだろうか。
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