■節子への挽歌1345:丑三つ時の事件
昨夜、時間はまさに丑三つ時、つまり午前2時。
わずかな音で目が覚めました。
不連続で、パソコンのキーボードを打ち込んでいるような音です。
うとうとしながらだったので気のせいかと思いました。
ところがしばらくしてまた聞えてきました。
私は寝る時には、真冬でもドアを開けて寝ています。
わが家でドアを閉める習慣があるのは、娘たちだけです。
ですから娘の部屋を除いて、すべての部屋は扉があいています。
その音は部屋の外から聞えてきます。
気のせいではなく、まちがいなく誰かがキーボードをたたく音です。
娘はもう寝ていますし、彼女の部屋の扉は閉まっているので聞えてはこないはずです。
寝室の隣が私の仕事部屋ですが、どうも音は階下から聞けてくるようです。
階下の和室には、節子が使っていたパソコンがあります。
そういえば、ちょうど節子がキーを打っているような、あまり速いテンポではない打ち方です。
音は間違いなく続いています。
節子でしょうか。
時計を見ると、まさに「2:00」。草木も眠る丑三つ時です。
起き上がって階段のところまで行きました。
と、そのキーボードを打ち込むような音がぴたっと止まったのです。
やはり気のせいかと思っていたら、今度はちょっと違う音がしてきました。
意を決して、階段を下りました。
さて、それからどうなったか。
実に退屈な展開が待ち受けていたのです。
期待させてすみません。
そこにいたのは、わが家のチビ太だったのです。
チビ太は室内犬ですが、いささか獰猛な性格なので、いつもリビングの一角に紐でつながれています。
ところが、なぜかその紐がはずれてしまったようで、階下を自由に彷徨していたのです。
その歩く音が、ちょうどパソコンのキーボードを打つ音だったのです。
いやはやとんだ丑三つ時の事件でした。
チビ太を彼のベッドに連れて行こうとしたら、足がびしゃっと水につかりました。
なんとチビ太くんは廊下におしっこをしていたのです。
なんとまあ性格の悪い犬でしょうか。
まあ飼い犬は飼い主に似てくると言いますから仕方ありませんが。
しかし、なぜチビ太の紐ははずれたのでしょうか。
そんなに簡単にはずれるはずはないのですが。
やはり節子の仕業でしょうか。
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コメント
いつもRSSを使って拝読しています。我が家にも犬がいるので、よく分かります。今日のブログは最高でした。犬は心を和ませてくれますね。
投稿: 平井浩人 | 2011/05/09 20:01
平井さん
ありがとうございます。
昨夜はチビタはおとなしく寝ていましたが、時々、夜鳴きで起こされます。
和まされるだけでないのが問題です。
しかしたしかにいないと寂しく、時々、病院に泊まり行っていますが(老犬なので)、その時もついついチビタを思い出します。
投稿: 佐藤修 | 2011/05/10 08:54