■節子への挽歌1348:「ちゃんと入院しなさいよ」(
節子
風早さんから電話がかかってきました。
「入院するんですって!」といつものように思いを込めた声が聞こえてきました。
「親知らず歯を抜くだけですよ」
と答えたら、「知ってます。でも侮ってはいけません。ちゃんと入院してくださいよ」というのです。
そういえば、ある人も同じようなメールをくれました。
私がちゃんと入院することをまだ疑っているようです。
どうも私は友人たちからの信頼がありません。
しかしなぜ風早さんが知ったのでしょうか。
あるメーリングリストで日程決めに関して、その日は入院日だと答えたのを読まれたようです。
私は口が軽いので、気楽に何でも話してしまい、いつも節子から「言わなくてもいいことをいってしまうんだから」と呆れられていましたが、まさに余計なことを口にしてしまうタイプなのです。
困ったものです。
風早さんはメールまでくれました。
それによると、昭和58年にやはり1週間の入院で親知らず歯を抜いたのだそうです。
問題は、その後にこう書いてありました。
今でもカンカンというノミで骨を削る音が耳の奥に残っています。これは十分に「恐れさせて」います。
恐れさせるつもりはありませんが、侮ってはなりませんぞ!
まあ担当の医師からはもっと脅かされていますが。
実は、この件は入院が決まった時にフェイスブックに書いたのですが、その記載へのコメントがいろいろ寄せられたのにも驚きました。
フェイスブックでは時々、メッセージ性のあることも書いていますが、そういうことへの反応よりも、格段に多かったのです。
世界の未来と私の歯の手術とどっちが重要かといやみを言いたい気もしますが、後者のほうが気楽に反応できるのでしょう。
つまり重要ではないということです。
困ったものです。
しかしみんなが心配してくれることには感謝しなければいけません。
そういえば、風早さんのように体験者もいました。
娘たちは心配していません。
節子がいたら心配してくれるのに、と娘たちに言ったら、お母さんも心配しないよ、と即座に言われました。
そういえば、節子の最初の胃の摘出手術の時、一番心配していなかったのは節子でした。
早期発見だから大丈夫と言っていました。
家族や友人を心配させないように、明るく話していました。
その頃のことを思い出すと、節子にまた無性に会いたくなります。
しかし1週間、病院で何をしたらいいのでしょうか。
久しぶりに読書三昧とも考えましたが、「ノミで骨を削る音が耳の奥に残っている」としたら、読書どころではないでしょうね。
医師と交渉して早目に退院しなければいけません。
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