■ミツバチが消えたのはネオニコチノイドのためではないのではないか
2009年1月に書いた「ミツバチが消えたのはネオニコチノイドのためか」へのアクセスはいまも続いています。
ほぼ毎日3~5件のアクセスがあるのです。
なぜかよくわからないのですが。
しかし、ミツバチが消えたのはネオニコチノイドだけではないかもしれません。
最近、話題になっている「働かないアリにも意義がある」という本を読みました。
そこにこんなことが書かれていました。
少し前までは野菜のハウス栽培で、花を受粉させて結実させるのにミツバチが使われていました。ところが、そうやってハウスに放たれたミツバチはなぜかすぐに数が減り、コロニーが壊滅してしまうのです。ハウスではいつも狭い範囲にたくさんの花があるため、ミツバチたちは広い野外であちこちに散らばる花から散発的に蜜を集めるときよりも多くの時間働かなければならず、厳しい労働環境に置かれているようです。この過剰労働がワーカーの寿命を縮めるらしく、幼虫の成長によるワーカーの補充が間に合わなくなって、コロニーが壊滅するようです。実験的に検証された結果ではありませんが、ハチやアリにも「過労死」と呼べる現象があり、これはその一例なのではないかと思われます。とても示唆に富んだ話です。
ミツバチが人口的な働きの場に取り組まれて、その生産効率を高めるための仕組みが整備されてくると、それまでにはたぶん存在しなかった「過労死現象」が発生するというわけです。
この本のタイトルは、「働かないアリにも意義がある」ですが、その「意義」とは何かというと、今様にいえば持続可能性の保全と言っていいかもしれません。
働かないように見えるアリも、決して働いていないのではなく、環境への反応感受性の違いから、「ある状況」では働かないだけの話だというのです。
著者の長谷川さんは、仕事があれば全員がいっせいに働いてしまうシステムのほうが生産性は高いが、実際のアリやハチの社会のように反応閾値(反応感受性)がさまざまな人がいるシステムのほうが、システムとしては長期間存続すると書いています。
詳しくは、あるいは正確には、同書を読んでもらうのがいいですが、さまざまな存在がいる組織のほうが、結局は生き残っていくわけです。
さて、ミツバチがなぜ激減したのか。
それはもしかしたら、ミツバチの世界が人間の効率主義発想で変質させられたからかもしれません。
もしそうならば、人間の世界でも起こりうる話です。
働きすぎるほど働く人が主流になっている社会は、もろい社会なのかもしれません。
| 固定リンク
「経済時評」カテゴリの記事
- ■資本主義社会の次の社会(2023.10.10)
- ■「資本主義の次に来る世界」(2023.07.24)
- ■「ペットボトル水現象は現代のチューリップ・バブル」(2023.07.06)
- ■読書の3冊目は「マルクス」(2023.03.28)
- ■ドラマ「ガラパゴス」を観て心が揺さぶられました(2023.02.15)
コメント