■節子への挽歌1400:世界で一番孤独な部屋には「孤独」はない
大学生の頃、寺山修司の1冊の本を読みました。
たしか三一書房の新書で、気楽に読める本でした。
今は手元にありませんが、もしかしたら「家出のすすめ」だったかもしれません。
私はあまり本で影響を受けるタイプではないのですが、当時の三一書房の新書には目を開かせてもらうことが多かったです。
大学で学んだこととはかなり違い、私の心に響くものが多かったです。
寺山修司のその本も私に大きな影響を与えたような気がします。
寺山修司の20回忌に出された「寺山修司作詞+作詩集」というCDがあります。
そのなかに「孤独よ おまえは」という曲があります。
歌っているのはシャデラックス。
すっかり忘れていたのですが、昨日久しぶりに聴きました。
繰り返し、繰り返し。
http://www.youtube.com/watch?v=_Kw9zaOvR0Q
その歌詞の一部です。
もちろん寺山修司の作詩です。
いかにも寺山修司です。
世界で一番孤独な夜は きみのいない夜なぜもっと早く思い出さなかったのか。
きみのなまえは 愛
きみのなまえは 自由
きみのなまえは しあわせ世界で一番孤独な部屋を ぼくは出ていく
世界で一番孤独な夜を撃つ ぼくは兵隊だ
世界で一番孤独な夜は きみのいない夜
いささか気恥ずかしいですが、私にとっては、愛も自由もしあわせも、すべて「節子」に集約されます。
つまり、その3つが、とてもうまく重なっていたのです。
それら3つは、必ずしも重なるとは限りません。
愛のゆえに自由を失い、自由のゆえに幸せを失い、幸せのゆえに愛を失うことは決して少なくないからです。
しかし、私は、節子のおかげで、それらを重ね合わすことができました。
少しだけ時間はかかりましたが。
そして、それが重なった時に、すべての終わりが始まったのです。
その節子のいない、世界で一番孤独な部屋で、毎日、世界で一番孤独な夜を過ごしているわけです。
部屋を出ることもなく、夜を撃つこともなく。
なぜなら、そこには「孤独」はないからです。
世界で一番孤独な部屋には「孤独」はない。
説明しだすと長くなりそうですが、愛、自由、そしてしあわせの重なり合いを体験すると、二度と孤独にはなれないのです。
久しぶりに寺山修司を読んでみようか、そんな気になっています。
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