■不条理なことに抗議しない「美徳」
東北の仮設住宅に入った人たちの中には、電力使用料を節約するために折角装置されているクーラーを使わない人がいることをテレビが報道していました。
今日テレビで見た仮設住宅の場所は福島県でした。
原発事故によって自宅を追われ、経済的にも厳しい状況になったにもかかわらず、その原因をつくった東電の電気を使えないのは、どう考えてもおかしいです。
被災者の電力料金は無料にするくらいのことが、なぜできないのか。
粗末な仮設住宅の内部は、暑い日には40度近くなるようですが、そうしたなかで生活費を切り詰めるためにクーラーをかけない高齢者がいることに、東電の経営者は何も感じないのでしょうか。
もしそうであれば、これからの展開には期待できません。
それにしても、被災者はなぜ声を上げないのか。
大震災の直後、日本人の協調性や我慢強さを讃える論調がマスコミで喧伝されました。
私も最初は、それをうれしく感じましたが、盛んに語られるうちに、胡散臭さを感じ出しました。
勘繰るならば、あれは被災者の言動を呪縛するための仕掛けだったのかもしれません。
不条理なことにさえ、抗議しないことが「美徳」にされたのです。
それに加担したのは、マスコミです。
海外では、我慢強さを褒めていただけではないのですが、日本のマスコミはそのことをあまり取り上げませんでした。
仮設住宅でなくても、「節電キャンペーン」の広がりの中で、クーラーの使用を控えている高齢者の話も話題になります。
これもまた、マスメディアの犯罪の一つだと私は思います。
高齢者が使用するクーラーの電力など知れています。
私は、日本の電力生産(電力消費もですが)は構造的にかなりの柔軟性を持っているはずなので、電力不足は電力会社が意図しなければ起こるはずもないと思っていますが(それが正しいとは限りませんが)、マスコミは、安易な「節電キャンペーン」の増幅活動で、まじめに生きてきた従順なお年寄りたちに電力消費罪悪感を植え付けてしまったのです。
つねに真面目で弱い人が犠牲になるということが、ここでも現れています。
テレビで、得々と節電の技などを語っているタレントやキャスターを見ると、蹴飛ばしたくなります。
そんなばかな番組を放映していることで、一体何人の老人のクーラーを止めているのかと思うのです。
そうした人たちこそ。電力消費量は高いように思います。
電力消費量はたぶん所得に比例しています。
そしてパレートの法則が打倒している世界です。
2割の金持ちが、8割の電力を使っている、と言ってもそう大きくは違わないでしょう。
節電などを広く強要する前に、自分たちが消費を抑えればいいだけの話だと、私は思っています。
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コメント
佐藤さん、こんばんは。奥野です。
いつもお世話になっております。
はじめてコメントを入れさせていただきます。
佐藤さんの憤りは、全く同感です。
東電の、あの連日の刷り込みCFには参りました。はじめから押しつけがましい内容に呆れましたし、あのタイミングで映像が既に編集されていたという事にも疑念を抱かせる匂いを漂わせていましたし。
これはある大手広告代理店の方やご関係者、友人達にも配布したのですが、録画していたドラマのスポンサードのあの煩わしいCFを飛ばそうと早送りしていた中に偶然目にしたものなのですが、あたかもサブリミナル的手法を用いたかのような合成写真が30分の何秒かに入り込んでいたものなのです。
それをデジカメで撮り拡大すると、醜悪な動物、悪魔のような図柄が役者の頬に貼られていましてね。。
意味不明過ぎて、相当気持ち悪い思い引きずっていますが。
どなたか、その意味をご解明できる方がいらっしゃれば、是非伺いたいとも思っております。
さて、その当時の渋谷区在住者として先ずやろうと思ったのは、今生の別れを滅多に行かない渋谷に行きました。
節電が本当に実行されるなら、先ず行き先はどこだと思われますか?
09(まるきゅう)ですか?西武ですか?いえいえ、、
そう、そのラブホ界隈(大笑)
電気は光々、延々と垂れ流しているんですが、人影まばらでした。
この世のシュールなアート空間そのものでしたね。。
投稿: 奥野彰久 | 2011/08/02 22:43
奥野さん
ありがとうございます。
この世のシュールなアート空間
なんだか情景が目に浮かびますね。
最近は怒る事が多すぎて、怒る気力が減退しています。
困ったものですが。
投稿: 佐藤修 | 2011/08/03 08:47
佐藤さん、こんばんは。奥野です。
度々恐れ入ります。
ご了解いただいておられると思いますが、念のために。
ラブホ街を確認しました感想は、あくまでもその時ピンときた直感から一人で向かったものですので、
言うなれば『報道と実際』という確認においては絶好の場所と思い立った検証行為というやつであります。
今生の別れ、という表現がいけませんでしたね、、、(大笑)
ブログの品を落とすような内容で、申し訳ありませんでした。
投稿: 奥野彰久 | 2011/08/03 20:45
奥野さん
私のオフィスがある湯島天神の近くは、いわゆるラブホテルがたくさんあります。
最近、経営が成り立っているのかどうか心配ですが、建て直しなどしていて立派になってきています。
ただあんまり光がこうこうとしているような様子はありませんが。
>ブログの品を落とすような内容で、申し訳ありませんでした。
決してそのような内容ではありませんので、ご心配無用です。
「今生の別れ」という文字は少しだけドキッとしましたが、今生の別れの前に、一度湯島にもお越しください。
投稿: 佐藤修 | 2011/08/03 21:40