■節子への挽歌1488:一枚のハガキ
節子
この挽歌の読者のお一人が、「一枚のハガキ」の映画チケットを届けてくださいました。
新藤兼人監督の引退作といわれる作品です。
新藤さんの映画は、私には重すぎるので、どうも苦手です。
迷ったのですが、すべての物事には意味があるという、基本的な私の信条に基づき、今日、シネマ有楽町に観に行きました。
行って気づいたのですが、節子と一緒に「永遠と1日」を観た映画館の、同じ場所にある映画館です。
建物は全面的に変わっていますが、場所はほぼ同じです。
あの時は、映画館を出ても、嗚咽をとめられないほど涙が出てしまいました。
「一枚のハガキ」も実に悲しい物語ですが、最後には希望が示唆されています。
それが救いでしたが、やはり重い映像で、私には荷が重過ぎました。
もっと軽く、重いテーマを描くのが効果的だと思いますが、やはり新藤監督の育った時代がそうさせないのでしょう。
戦争末期に召集された100人の中年兵士の啓太は、仲間の森川から「自分は戦死するだろうから生き残ったらハガキは読んだと妻を訪ねてくれ」と一枚のハガキを託されるところから物語は始まります。
そのハガキにはこう書かれていました。
「今日はお祭りですが、あなたがいらっしゃらないので、何の風情もありません」前半は、啓太とその仲間の兵士の妻の実にやりきれない人生が描かれています。
そしてその積み重ねの上に、このハガキが新しい物語を作り出していくのです。
前半は特に、ともかく暗いのです。そして重い。
しかし、そこに登場する人たちはみんなとても人間的で誠実です。
そこからは不思議なあたたかさが伝わってきます。そこに救いがあります。
そしてそれが最後の希望につながっていくのです。
妻役の大竹しのぶが、実にすばらしい。
出征した夫の戦死を聞いた妻は、堪えていたのが、ある時堪えられなくなって、叫びます。
なんでわしを残して死んでしまったんだ!心を揺さぶられるシーン、ほかにも少なくありません。
100人の兵士の生死は、くじ引きで決まりました。
啓太は運が良く、森川が運が悪かった。運の悪さは森川の妻にも両親にも降りかかります。
妻はくじで生死が決まったことに、救いを求めようとします。
このあたりのやり取りも、とても考えさせられます。
長くなりました。
時間がなくなったので、続きは明日書くことにします。
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