■節子への挽歌1490:庭園カフェ
この2日間、地元で手づくり散歩市というのがありました。
地元の手づくり工芸などに取り組んでいる人たちがショップを出して、そこを歩いてもらおうというイベントです。
わが家はメイン会場の通りとは少し離れていますが、庭にある娘のスペインタイル工房が会場になっています。
それで私は来てくださった方に庭で珈琲のおもてなしをさせてもらうのです。
節子がいたら、きっとやりたがるだろうなという思いがあって、始めました。
しかし、節子がいないせいか、それこそ風情が出てこないのです。
今年の手づくり散歩市は、残念ながらあまり「散歩市」にはなりませんでした。
天気が悪く寒かったこともあるのですが、それ以上に、コンセプトがあいまいで、なにやら「手づくりショップ村」が数か所にできただけの感じになってしまいました。
わが家に来た人も、どこが「散歩市」なのかわからないと怒っていました。
まあそれはともかく、寒い中をがんばって、私の担当のカフェは一応2日間開店しました。
フェイスブックを見て来てくれた人など、初めてわが家を訪ねてくれた人もいます。
しかし2日間を通じて、今年珈琲を飲んでくれた方はたった11人でした。
もっとも時間的にはほぼいつも誰かがいました。
お客様に出した珈琲は11杯ですが、私がその相手をしながら飲んだ珈琲もほぼ同じです。
おかげで胃がむかむかしています。
節子がいたらたぶんお客様は多くなったでしょう。
多いだけでなく賑わったことでしょう。
なにしろ私に会いに来る人は、あんまりスペインタイルに関心がなく、なかには工房にも入らずにカフェ目的の人もいるのです。
スペインタイル工房と私のカフェは結びつかないのです。
節子の友だちだったら、珈琲よりもスペインタイルに興味が行くでしょう。
それに節子のことですから、がんばってロールケーキを焼くでしょう。
節子はそういうのがとても好きでした。
私が会社を辞めた頃、節子には喫茶店でもやろうかと言ったこともありますが、やらないでよかったです。
売上が上がったと喜んでよく調べてみたら、私がその売上の半分だったというようなことにもなりかねません。
まさに「花見酒の経済」で、倒産は間違いありません。
しかし、だれもお客様が来ない喫茶店で、節子と一緒に珈琲を飲む老後生活を体験したかったです。
それもまた、私たちにとっての実現しなかった夢の一つです。
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コメント
散歩市のカフェ、コーヒー+佐藤さんのおもてなし付ですか。
来年はそれを楽しみにお邪魔したいと思います。
お疲れさまでした。
投稿: 横手紀昭 | 2011/10/05 18:13
来年は店主が倒れているかもしれませんので、開店の保証はありません。それにもっと暖かい時に開店したいですね。地元のサロンを企画しようかと考え出しています。
投稿: 佐藤修 | 2011/10/05 18:30