■数字の恐ろしさ
こんな記事を見つけて、ドキッとしました。
全国の公立学校に勤める新人教員のうち、1年以内に依願退職した人の数が2010年度までの10年間で8.7倍に増えたことがわかった。特に心の病による退職が急増している。教員が心の病にかかる場で、子どもたちが学んでいることに恐ろしさを感じたのです。
しかし、よく読んでみると、待てよ、という気がしてきました。
昨年度に公立の学校に入った教員は約25000人強で、1年以内に依願退職したのは約300人弱。つまり退職率は1%です。
退職率が8.7倍というと驚きますが、退職率1%と聴くと、逆の意味での驚きがあります。
人によって受け止め方は違うでしょうが、教員の世界はやはり「居心地のいい職場」なんだろうと思います。
しわ寄せは多分生徒たちに行っているのだろうなとさえ思いたくなります。
なにしろ10年前には退職率は限りなくゼロだったということですから。
こうした私の見方が正しいかどうかはあまり自信はありませんが、数字というものはかくも恐ろしいものなのです。
どこに焦点を合わせるかで、まったく正反対のメッセージも出せるわけです。
そもそも統計学は、説得のために発達した「嘘つきの科学」だと私は思っていますので、いわゆるデータは基本的にはあまり判断基準にはしないのですが、その私でさえ、数字には大きく影響されることは間違いありません。
困ったものです。
これに類した話はたくさんあります。
放射線汚染の話にこれを持ち出すのはいささか誤解されそうですが、汚染を示すデータが風評被害との関係でよく取りざたされます。
観測データなどは、極端に言えば、いかようにもつくれます。
そもそもそんなデータを安直に発表すべきでもないですし、そんなものに安直に依存してはいけません。
それに内山節さんも書いていますが、放射線汚染に関しては「風評被害」などという言葉は適切ではありません。
しかしどうしてみんな「数字」が好きなのでしょうか。
私には理解できません。
子どもの頃は結構、数学は好きだったのですが。
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