■65歳再雇用と若者の働き場
厚生労働省は65歳まで希望者全員を再雇用するよう企業に義務づける方針を固めたそうです。
年金の支給開始年齢引き上げが絡んでいるようですが、どうも違和感があります。
この数年、若者たちの働く場がないことが大きな問題になっています。
その理由は明らかです。
生産性の向上などで「仕事」そのものが少なくなってきているからです。
縮小する「仕事」を老若でとりあっているのが現状です。
若者にとっては、60歳を過ぎたら、もういい加減、会社や「仕事」から出て行って欲しいと思っているでしょう。
働かない高齢者は、若者が面倒を見なくてはいけなくなるので、高齢者は自分で働いて年金のお世話にならないようにしるというのが、大義かもしれませんが、それは本末転倒しています。
仕事は、お金だけのためにあるのではありません。
若い時代にきちんとした「働き場」を体験できない人が増えていけばどうなるのか、そのことを考えれば、安直な再雇用でいいはずがありません。
私の体験で言えば、60歳を過ぎたら基本的に生活費は減りだします。
私の場合、年収200万円あれば十分です。
実際には残念ながら200万円に達していませんが、何の不都合もありません。
自宅が持ち家だからかもしれませんが、食材もいろんな人たちが送ってきてくれますし、なにか活動をしようとすれば、必要なお金を寄付してくれる人もいますので、自殺予防や認知症予防の活動などもやれています。
そういう生き方ができるために20年かかりましたが、私自身は恵まれてはいたものの、決して特殊な例ではないでしょう。
要は、生き方の問題です。
たとえば、今回の大震災で無駄な生活に気づいた人は少なくないでしょう。
見直す余地は少なくありません。
60歳をすぎての再雇用も否定はしませんが、お金基準の働き方はやめるのがいいでしょう。
極端に言えば、働けるだけでも幸せなのですから、給料をもらうのではなくマイナス給料制度で授業料のように毎月給料を会社に払い込んでもいいくらいです。
事実、私は一時期、そうしていましたので、退職金はなくなってしまいました。
しかしそれは少し極端なので、にわかは受け容れられないでしょうが(将来はそうなると私は思っています)、少なくとも若い人たちの働き場を奪うことはやめるべきです。
具体的には、高齢者にはその知見とネットワークを活用して、企業と社会の橋渡し役になるとか、若者の働き場を増やし支援するとか、いろんな働き方があるはずです。
そろそろ「稼ぐ」から「働く」へと、意識を変えるのがいいでしょう。
年金がもらえないから働いて、そのおかげで年金掛け金も払えない若者を増やしていくのはどう考えてもおかしいです。
少しは若者たちの働き場に目をやってほしいものです。
そうしないと、結局は社会がさらに壊れてしまい、再雇用されてもあんまり幸せにはなれないかもしれませんし。
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