■絆ブームへの違和感
「今年の漢字」は予想通り「絆」になりました。
最近、絆とかつながり、支え合いといった言葉が、あまりにも安直に使われるのが気になっています。
そのことを以前、あるメーリングリストに書いたら、早速、2人の人から、共感のメールをもらいました。
しかし、その後、ますます「絆」ばやりです。
と思っていたら、今朝の朝日新聞に「絆」という言葉の持つマイナス面がていねいに書かれていて、少し安堵しました。
読んだ方も多いと思いますが、お一人のコメント部分を紹介させてもらいます。
広辞苑第6版の編集にかかわった山口明穂・東京大名誉教授(国語学)によると、「絆」にはもともと、語源から来るマイナスのイメージが強く、自由を束縛する「ほだし」の意味があった。しかし、最近ではプラスの意味で使われるケースが増えているという。「本来、深い関係がある時に使うもので、軽く使う言葉ではない。ただ、震災後に多用され、今後はプラスの意味で使われることが増えるのではないか」。
「絆」の語源は、「馬・犬・鷹など、動物をつなぎとめる綱」です。
つまり、「手かせ、足かせ」「人の自由を束縛するもの」という意味もまた、「絆」に含意されていることなのです。
そうしたことが、どんな結果を引き起こしたかは明治から昭和初期の歴史を読めば、よくわかります。
そこから解放されようと、この60年、私たちは生きてきたわけです。
しかし、その行きすぎが、社会を壊しだしているのも事実です。
私も20年ほど前から、「つながり」や「支え合い」を基本に置いた生き方をしてきていますが、その難しさもまた実感しています。
ちなみに、10年前には「つながり」や「支え合い」が大切だとNPO活動をしている人たちに話しても、あまり共感を得られませんでした。
それが一挙に「絆」です。
どう考えても理解できません。
なにやら「嫌な空気」も感じます。
もっとゆるやかな支え合う生き方を、私はしたいものです。
絆などという言葉は、軽々に口に出すべきではないと思っています。
| 固定リンク
「社会時評」カテゴリの記事
- ■言葉に管理される人間から言葉を活用する人間へ(2022.04.15)
- ■「人新生の時代」か「人消失の時代」か(2022.04.15)
- ■「これがスポーツか」(2022.02.17)
- ■コロナ感染不安症に私もかかってしまっているようです(2022.02.16)
- ■コロナ恐怖症候群の脅威(2022.01.24)
コメント