■歴史を学ぶことの落し穴
私もそうですが、多くの日本人は虹を7色だと考えています。
しかしそれは世界的には極めて少数派なのだそうです。
アメリカでは6色、中国では5色というのが常識だそうです。
沖縄では、なんと2色だそうです。
沖縄の人が読んでいたら、ホントかどうか教えてください。
たしかに私も虹の色を数えたことはありません。
虹は7色、と思い込んでいるので、7色に見えるのでしょう。
私たちが見ている世界は、住んでいる世界の常識によって違っているわけです。
7色だと言われればそう見えますし、5色だと言われればそう見えます。
こういう例はいくらでもあります。
「新しい世界史へ」という羽田正さんの本を読みました。
最近出版された岩波新書ですが、読んでいて自分の世界観の偏りを思い知らされました。
羽田さんは、日本の「世界史」の記述は、次の3点に問題があると言います。
まずは「日本人の世界史であること」。
世界史の記述は、国によってかなり違うようです。
ですから、他の国の「世界史」とは違うという認識が必要だといいます。
当然のことでしょうが、改めて言われるとハッとします。
次に「ヨーロッパ中心史観から自由でないこと」。
これは私も大きな問題意識を持っていました。
一時、梅棹さんが生態史観を打ち出しましたが、これもヨーロッパ中心史観だという認識は私にもありました。
ところが3つ目の問題は、これまでまったく意識してきませんでした。
羽田さんは3つ目として、「自と他の区別や違いを強調すること」をあげているのです。
歴史は、歴史を語る人たちのアイデンティティの基本を形成します。
そのことは私も知っていましたし、体験したことでもあるのですが、「自他の違いを強調」という認識はありませんでした。
確かに、歴史が戦争を起こしているのかもしれません。
歴史を学びあうことで平和が到来するのではなく、歴史を創りだすことで平和が到来するのだと改めて思いました。
羽田さんの本はとても面白いです。
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